検索ビュー 古典派(音楽)

この項目内で、特定の言葉で検索するには、[編集] メニューの [このページの検索] をクリックします。

入力した言葉とまったく同じ言葉で検索されます。見つからない場合は、別の言葉で検索してみてください。

古典派(音楽)
I. プロローグ

西洋音楽史において18世紀中ごろから19世紀初頭にかけての音楽様式をさす用語。17~18世紀のバロックと、19世紀のロマン派の間に位置づけられ、オーストリアの首都ウィーンが活動の中心であったことから、「ウィーン古典派」ともよばれる。

ヨーロッパでは、17世紀ごろから古代ギリシャやローマの芸術を規範とし、調和や普遍性をめざす芸術運動、古典主義が文学や美術でおこりはじめる(古典主義(文学):古典主義(美術))。音楽における古典派は、直接的に古典主義運動の影響をうけたわけではないが、論理的で調和のとれた形式が確立された点は共通している。代表的な作曲家は、オーストリアのハイドンとモーツァルト、ドイツで生まれウィーンで活躍したベートーベンで、とくに彼らの時代を「盛期古典派」とよび、それ以前の時代を「前古典派」とよぶこともある。また音楽史上において、ロシアの作曲家ストラビンスキーらを中心として19世紀末から20世紀にかけておこった新古典主義とは明確に区別される。

II. 時代背景

この時代のヨーロッパの社会体制は、絶対王政から近代民主主義へと移行する激動の時期にあたる。古典派初期には、音楽家たちはバロック時代と同様に王侯貴族にめしかかえられ、彼らのために作曲し演奏するのが一般的であった。しかし、しだいにモーツァルトのように定職をもたないフリーの音楽家も登場しはじめ、1789年のフランス革命により市民階級が台頭すると、一般市民に音楽をおしえたり、楽譜を販売したり、演奏会を開催して生計をたてることも可能となった。

III. 器楽の時代

これらの社会体制の変化の影響により、とくに大きく発展したのが器楽の分野である。

1. ソナタ形式の誕生

古典派は、バロック時代のごてごてした装飾や、過度の感情表現を排除し、調和のとれた形式を生みだした。その代表が複数の主題の展開を原理とするソナタ形式である。提示部-展開部-再現部の3部分から構成され、主調と属調(主調の完全5度上の調)の対比を明確な図式にしめしたソナタ形式は、当時の音楽に広く浸透し、さまざまな音楽の土台となった。

2. 公開演奏会の登場

独奏または2つの楽器で演奏されるソナタ、オーケストラによる交響曲、独奏楽器とオーケストラによる協奏曲、2台のバイオリンとビオラとチェロによる弦楽四重奏曲などは、すべてこの時代に確立した器楽様式であり、それ以降の音楽にとっても重要なものである。これらの音楽は、公開演奏会でも数多く演奏され、楽譜も盛んに出版された。

3. オペラの変化と発展

声楽の分野では、ドイツ歌曲がハイドンやモーツァルトにより確立される。オペラでは、グルックが1762年の「オルフェオとエウリディーチェ」などにより歌詞と音楽の調和をめざした「オペラ改革」をこころみる。グルック以降、オペラでも合唱や器楽演奏が重視されるようになった。古典派の時代にも、当初は宮廷劇場で上演されるオペラ・セーリア(まじめなオペラ)が主体だったが、費用のかさむ大規模な宮廷オペラはしだいに敬遠されるようになる。かわって発展してきたのが喜劇的なオペラで、新たに登場した巡業歌劇団や民間劇場で上演され、市民の人気をあつめた。

IV. 交響曲の発展

ソナタ形式の発展にもっとも寄与したのは交響曲である。交響曲はイタリア・オペラの「シンフォニア」とよばれる序曲が進化したもので、前古典派時代のワーゲンザイルやモン、J.S.バッハの息子たち(カール・フィリップ・エマニュエル、ヨハン・クリスティアンら)が盛んに作曲し、「交響曲の父」と称されるハイドンへうけつがれる。また、バイオリン族による弦楽5部構成の確立やクラリネットなど新しい管楽器が登場し、改良されたことにより、オーケストラの編成が大きく発展。表現力も飛躍的に豊かになった。

V. 古典派の3大作曲家

ハイドン(1732~1809)は、3大作曲家のうちでもっとも年長であり、生涯の大半をオーストリアのアイゼンシュタットに居城をもつハンガリーの貴族エステルハージ侯爵につかえ、108曲の交響曲などをとおして、古典派の可能性を発展させた。

モーツァルトとベートーベンは定職にはつかず、作曲料や演奏会の入場料、楽譜の出版、個人教授などで生計をたてた。モーツァルト(1756~91)は短い生涯の中で、室内楽曲、協奏曲、交響曲など多数のすぐれた器楽曲を作曲。オペラの分野でも「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」など個性豊かな作品を多数のこした。ベートーベン(1770~1827)は途中で聴力をうしなうが、内面的感情を描写した9曲の交響曲をはじめ、丹念に推敲(すいこう)された作品を作曲。ロマン派の作曲家たちにも大きな影響をあたえた。