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| IV. | 園芸品種の作出法 |
園芸品種はいくつかの手法によって作出、選抜されている。もっともふつうにおこなわれるのは育種である。育種はことなる遺伝子をもつ植物どうしを交配し、その子株の中から利用価値の高いものを選別する過程をいう。
種子から繁殖する一年草または二年草の育種では、特性が固定するまで交配をくりかえすことが必要である。だが、栄養生殖が可能なものの場合は、優良な個体を1株えられれば園芸品種として成立可能である。とくに、メリクロン技術などの大量増殖技術が普及した現代では、1株から大量に、しかも短期間で増殖することができるため、新しく生まれた園芸品種が、ごく短期間で世にでてくるようになった。
育種の次におこなわれるのは、枝変わりなどの突然変異を利用するものである。この手法は、自然界や栽培途中の植物群から突然変異をみいだし、それを繁殖して園芸品種をつくりだすものである。
さらに近年の自然科学は革新的な育種技術を生みだしている。1つは胚培養とよぶもので、通常では交雑がむずかしい種どうしの交配を可能にする技術である(→ 発生学)。ユリの育種ではこの胚培養技術がふつうに利用され、ハクサイとキャベツ(カンラン)の雑種であるハクランの産出なども胚培養によって可能になった。
最新の技術として注目されるものには遺伝子組み換えとよぶ手法がある。これは、特定の遺伝子を既存の植物にくみこみ、もとめる特性をもった園芸品種をつくりだすものである。青い花を咲かせる遺伝子をカーネーションにくみこむことで、すでに青いカーネーションが生まれており、同様にして青いバラの作出もこころみられている。
また、エチレンの発生を阻害する遺伝子をトマトにくみこむことで、常温下で1カ月以上も貯蔵可能なロングライフ・トマトが生まれ、殺菌剤成分を生成する遺伝子をくみこんだ耐病性のダイズなど、すでに実用化にいたった園芸品種もある。
遺伝子組み換えではなく、自然界でみられるような突然変異を効率よくおこさせて、園芸品種をつくりだす方法もある。それは、植物に重イオンビーム(重粒子線)という放射線を照射して、わざと突然変異をおこさせるものである。それによってできる多数の突然変異株の中から有用なものを選抜し園芸品種をつくる。この方法は日本独自のもので、理化学研究所が中心となっておこなっている。
このように、園芸品種はさまざまな手法によって生みだされており、次々に新しいものが発表されている。バラやキクなど、世界じゅうで利用される草花では、園芸品種の数が1万をこえるものもある。しかし、そのすべてが常にのこることはなく、園芸品種には栄枯盛衰がつきものといえる。