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| IV. | 通貨統合への歩み |
1989年4月発表の「ヨーロッパ共同体の経済通貨同盟に関する報告書」(ドロール報告書)は、経済通貨統合(EMU:Economic and Monetary Union)の実現への過程を3段階とした。第1段階(1990年7月~93年12月)では、域内市場統合の促進と中央銀行総裁会議の機能強化、第2段階(1994年1月~98年12月)では、ヨーロッパ通貨機構の設立とマクロ経済政策協調の強化、第3段階(1999年1月~)は、単一通貨ユーロの導入とヨーロッパ中央銀行(ECB)による統一的な金融政策の実施である。ヨーロッパ中央銀行は98年6月に業務を開始した。
この第3段階の初めにおいて、経済通貨統合への参加条件であるインフレ率、長期金利、財政赤字・政府債務、為替要件などの経済収斂基準をみたし、かつ参加意思をもった11カ国が、予定どおりユーロを導入した。不参加4カ国のうち、参加意思をもちながら経済状況がわるく参加できなかったギリシャは、その後、収斂基準をみたし、2001年1月に参加した。04年にEU(ヨーロッパ連合)に加盟した東欧などの10カ国では、スロベニアが先頭をきって07年1月に参加。08年1月にはマルタとキプロス、09年1月にはスロバキアが参加をはたした。
ヨーロッパ中央銀行は、物価の安定を第一義的な目標として金融政策を実施する。その基本任務は、(1)域内の金融政策の策定・実施、(2)為替操作の実施、(3)加盟国の公的外貨準備の保持・管理、(4)決済制度の円滑な運営と促進、にある。最高意思決定機関である理事会(Governing Council)は、ヨーロッパ中央銀行総裁、副総裁、4名の理事、それに参加国の中央銀行総裁で構成され、採決は単純多数決でおこなわれる。ヨーロッパ中央銀行は、EU諸機関や各国政府から独立し、これらから指示をうけてはならず、また信用供与をおこなってはならないとされている。