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| II. | バロック音楽の始まり |
バロック音楽に先行するルネサンス音楽では、すべての声部を均等にあつかう対位法による声楽が高度に発達したが、その均質で静的な音楽様式は、16世紀後半に異質な要素を混在させる、よりダイナミックで「バロック的な」様式へと移行していった。
とくにバロック音楽の開始を象徴するのが、16世紀末のフィレンツェにおける人文主義者たち(カメラータ)の活動である。彼らは古代ギリシャ悲劇(→ 悲劇の「古代の悲劇」)の復興をめざし、すべての台詞(せりふ)をうたう音楽劇、すなわちオペラを創始した。この最初期のオペラにはモノディという新しいタイプの独唱歌曲がもちいられている。これは、歌詞にしめされる「情念(アフェクト)」の表現を重んじた朗唱風の旋律によるもので、伴奏には楽器奏者がバスの旋律をかなでながら即興的に和声の補充をおこなう通奏低音がつかわれている。モノディの影響力は大きく、情念の表現や通奏低音の使用はバロック音楽の本質的な特徴となった。これらが形骸(けいがい)化した時点で、新たに古典派音楽がはじまることとなる。