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| II. | 技術の発展と歴史 |
初期のレコード録音では音を増幅させる技術がなく、音波の振動を直接レコード盤に溝としてきざみこんでいた。そのため録音の際にはできるだけ大きな音を出すことが必要で、音質もよくなかった。その後、1925年にアメリカのマックスフィールドらが電気吹き込み技術を開発。電気信号による増幅技術が発達し、音質も向上した。そのころのレコード盤は天然樹脂(シェラック樹脂)を使用したSP(スタンダード・プレー、ショート・プレーの略称)盤で、1分間に78回転ときまっていた。回転するレコード盤の溝に針先がふれると、その振動がダイヤフラムをとおして空気を振動させ、空気振動が導波管をとおって方向がそろった音波となり、ラッパ状の拡声器をとおして音声や音楽を再生した。
第2次世界大戦後はSP盤にかわって塩化ビニル(塩ビ)製のレコードが全盛をむかえる。塩ビレコードは1931年にアメリカのRCA(現、ゼネラル・エレクトリック)が試作品を開発していたが、48年に1分間45回転・直径17cm(7インチ)で録音時間が片面4分30秒のEP盤が登場。その後、さらに長時間録音が可能な1分間33回転・直径30cm(12インチ)で録音時間が片面24分のLP盤もつくられた。また、のちにはLP盤のサイズで1分間45回転、録音時間が片面18分のいわゆる12インチ・シングルも登場する。
塩ビをつかったEP盤、LP盤は軽くてわれないほか、加工が容易で微細な音溝が再現できるため、音質がよく針の摩擦音が少ないといったSP盤にないすぐれた特徴があった。また、このころには、針先の振動をコイルと磁石によって電気信号に変換し、これを増幅してスピーカーから音を出す電気蓄音機が登場。音の再生方式も、それまでのモノラルだけでなく、臨場感あふれる立体的な音を出すことができるステレオ再生技術が開発され、同時にステレオ録音されたレコードも登場した。→ オーディオ機器:レコーディング
日本の塩ビレコードの生産は高度経済成長の波にのって増加の一途をたどり、1970年代半ばには年間2億枚に達した。だが、80年代には新しく開発されたCDにその座をうばわれ、現在国内大手のレコード会社はすべてレコード盤の自社生産を中止している。しかし、ジャズ・ファンやクラブDJなどアナログ・レコードを愛する人たちも根強くのこっており、東洋化成(横浜市鶴見区)のレコード部門が国内で唯一レコード会社からの委託生産をおこなっている。