| 検索ビュー | C型肝炎 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
肝炎をひきおこすウイルスにはいくつかのタイプがあり、A型、B型の次にみつかったのがC型肝炎ウイルス(HCV)である。そのC型肝炎ウイルスによる肝炎がC型肝炎で、多くは血液を介して感染し、急性期ではA型やB型にくらべて症状が軽いものの、ほとんどが慢性化する。慢性化した場合、自然になおることはまれで、20~30年後に肝硬変や肝臓癌へと進行することが多い。日本では年間約3万4000人が肝臓癌で死亡しているが、その原因の約80%がC型肝炎といわれている。
ウイルスが発見されるまでには、C型肝炎ウイルスに感染していた血液でつくられた血液製剤の使用や輸血がおこなわれていた。また、同じ注射針をくりかえし使用することもあったため、気づかないまま感染していた人も多く、社会問題となっている。
| II. | ウイルスと感染および症状 |
A型でもB型でもない肝炎があることは長い間知られていたが、1988年になって、アメリカでC型肝炎ウイルスが分離、同定された。フラビウイルス科に属し、直径5~6nm(ナノメートル:1nmは10億分の1m)の球状粒子で、表面にはスパイク状の細いトゲが無数についている。
1989年(平成元年)からは、献血された血液が肝炎ウイルスに感染していないか検査をするようになったが、それ以前に輸血した人の8.7%に非A非B型肝炎が発生しており、そのほとんどがC型と考えられている。性行為によるC型肝炎ウイルスへの感染はまれで、母子感染も少ない。
肝炎になると、肝臓の細胞がこわれて肝臓の働きが悪くなるが、C型肝炎は感染しても症状があらわれないことも多い。急性の場合でも自覚症状がみられる人は2~3割程度で、全身倦怠感(けんたいかん)につづき、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状から黄疸が出ることもある。慢性肝炎では重症化してはじめて食欲不振や疲れやすさなどが出るので、自覚症状のないまま健康診断やほかの病気の診断、血液検査で発見されることもある。
感染の有無は、血液検査でC型肝炎ウイルスの抗体や核酸をしらべる。また肝細胞がこわれたときに血中に放出される肝臓の酵素ASTやALTをしらべることでもわかる。さらに、肝臓から組織片を採取して実際に顕微鏡でみる肝生検をおこなえば、肝炎の進行度合いなどを精密に検査できる。C型肝炎ウイルスの感染者は、症状のない感染者をふくめると200万人以上いると推計されており、そのうち肝炎や肝硬変、肝臓癌を発症している患者は50万人以上いる。
| III. | 対応と治療 |
献血時の検査が確立してからは、医療行為による感染は激減している。精度も次第にあがって、1992年以降は輸血による感染はほとんどない。衛生環境が向上したこともあって新たな感染者はひじょうにまれになった。
一方、感染に気がつかないままでいる持続感染者を発掘して、治療につなげることが課題となっている。日本の肝臓癌の発生は50歳代後半~60歳代前半がピークであることから、厚生労働省では、2002年4月から老人保健法による住民健診(40歳以上が対象)などにC型肝炎ウイルス検査を導入して、患者の掘り起こしをすすめている。
治療は、注射によるインターフェロン投与や、インターフェロンと経口抗ウイルス薬リバビリン(2001年11月認可)の併用が中心になる。効果は、ウイルスの遺伝子型や量、進展度によりことなるが、なおりにくい1b高ウイルス量でも約50%、全体では60%程度が治癒する。
感染予防のためのワクチンはないので、感染者の血液にふれないようにしなければならない。医療従事者が針刺し事故などであやまってC型肝炎ウイルスに感染するケースがあり、そうした事故の対策もいそがれる。
| IV. | 薬害C型肝炎 |
2002年10月、1980年(昭和55年)から88年にかけて血液製剤フィブリノーゲンなどが原因でC型肝炎に感染した患者16人が、国と製薬会社3社に対し、感染の可能性を知りながら放置したとして、東京地方裁判所と大阪地方裁判所に損害賠償をもとめて提訴した。アメリカでは、同剤は77年には使用が中止されている。
日本では血液製剤によって1万人以上が感染したとされ、薬害C型肝炎訴訟はその後、福岡、名古屋、仙台の各地方裁判所でも提訴された。2007年(平成19年)12月までに全国の地方裁判所や高等裁判所での原告数は200人以上にのぼった。地方裁判所レベルでの判決では、国と製薬会社の賠償責任を認定したものの、投与時期の違いから一部の原告は救済から除外された。国はその後、大阪高等裁判所での和解勧告を機に被害者の一律救済にうごき、08年1月に原告団との合意にもとづいて「薬害肝炎被害者救済特別措置法」を国会で成立させた。この法律で国と製薬会社は基金を創設し、被害者に1200万~4000万円の給付金をしはらうことになったが、救済対象になるのは感染が証明できる約1000人の被害者と推定される。