| 検索ビュー | 太陽電池 | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
太陽電池とは太陽の光エネルギーを電気にかえるエネルギー変換装置(トランスデューサー)である。ただし、「電池」といっても電気をたくわえる機能はなく、日射強度に比例して発電をおこなう。そのため、日本ではソーラーセル(Solar Cell)とよばれるのに対し、英語ではPV(Photovoltaic:光起電性)とよばれることが多い。
発電のエネルギー源となる太陽光線は、事実上無限で、しかも経費がかからない。規模の大小にかかわらず効率は一定で、化石燃料のように大気汚染の原因物質や地球温暖化の原因となる二酸化炭素も発生しない、クリーンエネルギーとして期待されている。→ 太陽エネルギー
| II. | 発電の原理 |
太陽電池は、半導体のもつ光電効果のひとつ、光起電力効果を利用している。そのため、太陽光線だけでなく、人工の光源などでも発電することができる。太陽電池に照射した光エネルギーをどれだけの割合で電気エネルギーに変換できるかということを「変換効率」といい、性能を評価するうえのひとつの目安となっている。1954年に発明された最初の太陽電池の変換効率は6%程度だったが、現在では量産型のものでも十数パーセント、高効率のものでは30%以上のものもある。
現在、おもに利用されているシリコン太陽電池は、p型とn型という性質のことなる2種類の半導体を重ねあわせた構造をしていて、これに光を照射すると、電子と正孔(ホール)の対が発生する。そして、負の電荷をもつ電子はn型半導体に拡散するのに対し、電子がぬけだしたために正の電荷をもつ正孔はp型半導体に拡散するため、両方の電極部にあつまることになる。つまり電位差(起電力)が生じたことになり、両電極を電線でむすべば電流がながれ、電力としてとりだすことができる。原理上、とりだすことのできるのは直流である。
| 1. | シリコン系太陽電池 |
半導体の材料としてはシリコン(ケイ素)がもっとも大量につかわれている。歴史も古く、1954年にアメリカのベル研究所(現、ルーセント・テクノロジーズ)のシャピンらによって結晶系で単結晶型のものもつくられた。同じ結晶系で多結晶型のものは単結晶よりも大きなものがつくれることから生産コストはやすくできるが、シリコン自体がもろく、大きなものはうすくするのが困難である。この両者は、変換効率がすぐれ、現在もっとも量産されている。一方、非結晶系のものにはアモルファス(非晶質)型がある。ガラスまたは金属基板の上に薄膜状のアモルファスシリコンの結晶を形成するもので、結晶にくらべ変換効率がおとり、使用当初には劣化がおこるという欠点があるものの、量産による低価格化が期待されている。変換効率を高めるために、多結晶型とアモルファス型とのハイブリッド型太陽電池も利用されている。結晶系の太陽電池の寿命は、およそ20年ぐらいだといわれている。一方、アモルファス型の場合は直射日光により劣化がおきるため10年程度だと思われるが、本格的な製造が開始されて間もないため、じゅうぶんなデータはえられていない。
| 2. | 化合物系太陽電池 |
シリコンのほかにも複数の元素からつくられる化合物半導体も材料としてもちいられている。カドミウムとテルルの化合物CdTeや、銅CuとインジウムIn、セレンSeの化合物CIS、またガリウムとヒ素の化合物GaAsやインジウムとガリウム、リンの化合物InGaPなどがあり、いずれもシリコン系太陽電池よりも変換効率が高いことが特徴である。また、化合物半導体系にも単結晶と多結晶のものがあり、単結晶のものは人工衛星の電源用など特殊な用途に利用されている。また、多結晶のものには、用途や使用方法にあわせて多様な材料や構造のものがある。化合物系太陽電池はシリコン系にくらべて変換効率が高く、寿命も長いという特徴をもつが、ガリウムやインジウムなど資源量が少ない材料をつかうことから、生産コストが高くなる。また、地上にくらべ宇宙線などの影響が大きい宇宙空間で使用した場合などは、数年しかもたないといわれている。
| 3. | 色素増感太陽電池 |
そのほか、従来のものとはちがう原理の色素増感型というものも研究がおこなわれている。色素増感太陽電池は、電池中の色素が光によって励起状態となり電子を放出することを利用したもので、その原理は光合成に似ている。色素は、シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)、イエロー(黄)という三原色を利用する。製造においては、シリコン太陽電池のように大掛かりな半導体製造設備が不要で、構造も単純なことから量産化に適している。ただし、現在のところシリコン系のものにくらべて変換効率が低いため、さらなる改良・研究がすすめられている。
| III. | 太陽光発電システム |
太陽電池を利用した太陽光発電システムは、系統連系型と独立型とに二分することができる。系統連系型システムは、電力会社による商用電力系統と連系し、電気の売買をおこなうもので、太陽電池による発電量では不足する場合、電力会社から電気を購入し、逆に発電量に余裕がある場合は電力会社に買いとらせるというものである。現在、普及がすすんでいる住宅用のものや公共用、産業用などで利用されている太陽光発電システムの多くは、この方式である。たとえば、住宅用の場合、屋根などにとりつけた太陽電池アレイで発電された直流電力は、直流を交流に変換するインバーターと保護装置からなるパワーコンディショナーをとおして、通常の家電製品に供給される。そして、発電できない夜間などは電力会社からの電気を利用し、発電量があまったときは電力会社に逆送電するようになっている。ただし、太陽光発電の発電コストは商用電力よりかなり高く、普及にとっての足かせとなっている。
一方の独立型システムは、商用電力系統からは完全に分離・独立したもので、太陽光発電のみで運用されている。そのため、発電量が低下する雨天や曇天、また夜間用に、発電した電気をたくわえる蓄電池が必要となる。古くから、離島や山間部などでは交流電力に変換して利用されてきたが、直流電力のまま、街路灯や道路標識などに利用するものもふえている。
| IV. | 利用の歴史 |
1958年に、アメリカの人工衛星バンガード2号に搭載されたのが本格的な実用化への始まりとなった。日本でも58年(昭和33年)には国産化に成功、翌59年に無人灯台用電源として利用された。しかし、非常に高価なこともあり、利用は宇宙のほかには離島や僻地(へきち)など限定されたものにとどまっていた。やがて、アモルファス型など新型で安価な太陽電池があらわれ、80年代になると電卓や腕時計など身近な利用がすすんだ。
また、1973~74年の第1次オイル・ショック(石油危機)後には、太陽光発電としての利用が注目をあつめ、「サンシャイン計画」という国家的プロジェクトがはじまった。93年(平成5年)からは、それまでは個別に研究・開発がすすめられていた新エネルギー技術や省エネルギー技術、地球環境技術が統合された「ニューサンシャイン計画」となっている。→太陽エネルギーの「太陽光エネルギーの利用」
国際エネルギー機関(IEA)によれば、太陽光発電システムの累積導入量は2005年には、世界全体で3696MW(1メガワット=1000kW)と、1997年当時の10倍以上にまで急成長をとげた。日本では、94年度(平成6年度)からは国が住宅向け補助金制度をはじめたこともあり、国内の太陽光発電の設置規模(累積導入量)は2004年までは113万kWと世界のほぼ半数を1国で占める太陽光発電大国だった。しかし、補助金制度が終了した05年度以降、国内出荷量は減少した。