イージス艦
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イージス艦
III. イージス・システム

イージス艦は、空母をのぞけば現代の水上艦艇の中で、もっとも高価な軍艦といえる。その特徴は搭載するイージス・システムにある。そもそもイージス艦はイージス・システムを搭載した艦というよりは、イージス・システムを搭載するためにつくられた艦といったほうがよい。

イージス・システムは、冷戦中の1970年代に、ソ連軍の脅威が高まる中、空母部隊に対する航空機、艦船、航空機から発射される大量の対艦ミサイルによる同時飽和攻撃に対処する目的で、アメリカが開発したものである。その主要な機能は、強力で同時多数目標対処能力をもつフェーズド・アレイ・レーダーと、その情報処理装置にある。

フェーズド・アレイ・レーダーは、細かいアンテナ素子をたくさんならべた固定式レーダーで、一般のレーダーのようにレーダーアンテナを機械的に回転させる必要がなく、全周を常時監視することができる。このため同時に多数の目標への対処が可能で、イージス・システムの場合、154といわれる多数の目標を同時に探知、処理、追跡し、このうち同時に18の目標に対空ミサイルをむけることができるといわれる。探知距離も約500kmと飛躍的にのびている。

対空ミサイルは従来からアメリカ海軍で使用されているスタンダードミサイルの発展型だが、誘導方式を工夫したことでそれまでに数倍する約100kmもの射程をえている。ミサイルはタイコンデロガ級の初期は旧来の連装式のミサイル発射機を装備していたが、垂直発射機が実用化されて、対処時間が減少するなどの性能向上がはかられている。ミサイル搭載数はタイコンデロガ級が122発、アーレイ・バーク級およびこんごう級が90発(アーレイ・バーク級最新型は96発)だが、この中には対空ミサイル以外も混載される。