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| IV. | 合成繊維 |
合成繊維は低分子量の化合物を化学反応(重合)でたくさんつなげてつくった高分子材料をノズルからおしだして糸にする。さまざまな種類があるが、生産量が多いポリエステル、ナイロン、アクリル繊維の3つを3大合成繊維とよぶ。
| 1. | ナイロン |
ナイロンは1935年にアメリカのデュポン社のカロザースが発明した。ナイロンはもともとデュポン社の商品名だったが、現在ではアミド結合(→ ポリアミド)でつながった合成高分子の総称になっている。摩耗(まもう)や折り曲げに強く、しなやかな感触がある。女性用ストッキングに採用され、高価な絹のストッキングを市場で凌駕(りょうが)したことで知られる。絹やワタ(綿)より軽くて水にぬれても水をすわないので、洗濯後にはやくかわく。原料の種類によりいくつかのタイプがあるが、衣料用に多く生産されるのはナイロン66とナイロン6で、日本で多く生産されるのはナイロン6である。一方、アメリカでは耐熱性の面でややすぐれたナイロン66が中心となっている。ナイロンは、衣料用のほかにはカーペット、タイヤコード、漁網、釣り糸などにも使用されている。
| 2. | ポリエステル |
ポリエステルは生産量がもっとも多い化学繊維で、天然繊維をふくめると綿花につぐポピュラーな素材である。繊維でポリエステルといえば通常、エチレングリコールがテレフタル酸とエステル結合してできた高分子であるポリエチレンテレフタレート(PET:商品名はテトロン)のことをさすことが多いが、ほかにもポリトリメチレンテレフタート(PTT)やポリブチレンテレフタート(PBT)などもふくまれる。耐熱性にすぐれ、ひじょうに強く皺(しわ)になりにくいのが特徴。吸湿性もあまりなく、ぬれても性質がかわらない。熱をかけるとその時の形を記憶する性質(熱可塑性)をもち、折り目やプリーツが保持されるため、衣服に広く応用されている。1980年代に新合繊とよばれた新しい風合いや質感をもたせた合成繊維素材は、ポリエステルを極細に紡糸したり断面形状を工夫したりしてできた。ナイロンにくらべ価格も安い。産業用にもシートや漁網、ロープ、テント、人工皮革など用途は広い。
| 3. | アクリル繊維 |
アクリル繊維は羊毛に似た性質をもつ合成繊維。ふんわりとした肌触りで、セーターなどニット製品、毛布など寝装品に使用される。アクリルニトリルを原料として、湿式紡糸によってつくられる。熱をかけるとその形を記憶、いったん記憶した繊維でも70~80°Cに熱するとやわらかくなり、ふたたび形をかえることができる。この性質を利用して嵩(かさ)が大きい「ハイバルキー糸」にできる。
| 4. | そのほかの合成繊維 |
以上の3大合繊のほか、ゴムのような伸縮性をそなえたポリウレタンは、アメリカではスパンデックスとよばれ、下着類や靴下、水着などに使われることが多い。
石油精製から生まれるプロピレンを重合してできたポリプロピレンは、繊維の中ではもっとも軽く、水にうく。酸やアルカリに強く汚れがつきにくいため、カーペットなどインテリアに使用される。
1931年にドイツで発明されたポリ塩化ビニルは、もっともはやく開発された合成繊維。丈夫で保温性にとむため肌着などに利用されているが、耐熱性があまりなく、アイロンがけが必要な衣類にはむかない。
日本で発明されたビニロンは、木綿によく似た合成繊維といわれる。現在は漁網など産業用におもに使用されている。