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| I. | プロローグ |
元素の周期律にしたがって分類し、配置した表のこと。19世紀のロシアの化学者ドミトリー・メンデレーエフが発表した周期表が有名である。周期表では縦方向を「族」、横方向を「周期」とよんでいる。現在の周期表では元素を原子番号順にならべてあるが、メンデレーエフは原子量順にならべたために、元素の周期律とはかならずしも一致しない部分があった。これは、当時はまだ原子核の構造の研究がじゅうぶんにすすんでおらず、同位体も発見されていなかったためである。なお、性質の似た元素が周期的にあらわれるのは、元素の電子配置(最外殻電子数)が周期的に変化するためである(→ 価電子)。
| II. | メンデレーエフの周期表 |
メンデレーエフは、当時知られていた63種の元素について原子量の小さいものから順にならべると、性質の類似した元素が周期的にあらわれることを発見した。そのことをふまえてメンデレーエフは、それらの元素が同じ列に入るような周期表を1869年に著作「化学原論」で発表した。しかし、この周期表はまだ不完全であったため、その後さらに研究をつづけ、2年後に別表「メンデレーエフの周期表」を発表した。最初のものは6周期であったが、改良されたものでは8族、12列になっている。この周期表に対しては、水素Hが非金属元素でありながら、アルカリ金属と同じ位置に入っていること、金属元素のマンガンMnがハロゲンと一緒になっていること、金属元素のクロムCrが硫黄族(5族)と一緒になっていること、8族には数カ所にしか元素が入ってないこと、原子量の逆転があることなど、さまざまな問題点が指摘された。
しかし、メンデレーエフは、当時まだ発見されていなかった元素を予測し、①、②、③のような空欄をもうけて、①をエカボロン、②をエカケイ素、③をエカアルミニウムと命名し、存在を予知しただけでなくその性質まで予言した。なお、エカ(Eka)はサンスクリットで「1」の意。表「メンデレーエフの周期表」を参照のこと。
| 1. | メンデレーエフの予言した元素と発見された元素の性質 |
メンデレーエフがその存在を予測した①エカボロンは、1879年にスウェーデンの化学者ラルス・ニルソンにより発見されたスカンジウムであり、②エカケイ素は1875年にフランスの化学者ボアボードランにより発見されたガリウム、③エカアルミニウムは1886年にドイツの化学者クレメンス・A.ウィンクラーにより発見されたゲルマニウムである。後日発見されたこれらの元素と、彼の予言した性質との対比を下にしめすが、いずれもメンデレーエフの予言とほぼ同様の性質であった(カッコ内が実際の元素)。
このことにより、メンデレーエフの提案した周期表の信頼性が確認され、その価値が格段にあがることになった。ちなみに、1955年に新しく発見された101番元素には、彼の功績をたたえてメンデレビウムという名前がつけられている。また、メンデレーエフの周期表をもとにしたものが短周期型周期表とよばれ、現在でも使用されている。
エカボロン(スカンジウム)
(1)原子量:44.96(43.97)
(2)密度:2.99/cm³(2.5g/cm³)
(3)塩化物:EbCl3 昇華性の固体(ScCl3 約800°Cで昇華)
(4)酸化物:Eb2O3 密度3.5g/cm³(Sc2O3 密度3.864g/cm³)
(5)化学的性質:弱塩基性(弱塩基性)
(6)硫酸塩:Eb2(SO4)3 水に不溶(Sc2(SO4)3 水に不溶)
エカケイ素(ゲルマニウム)
(1)原子量:72.6(72.5)
(2)密度:5.32g/cm³(5.47g/cm³)
(3)塩化物:EsCl4 密度1.9g/cm³(GeCl4 密度1.89g/cm³)
(4)酸化物:EsO2 密度4.5g/cm³(GeO2 密度4.70g/cm³)
(5)塩化物の沸点:90°C以下(86°C)
エカアルミニウム(ガリウム)
(1)原子量:68(69.72)
(2)密度:6.0g/cm³(5.9g/cm³。20°C:固体)
(3)塩化物:EaCl3(GaCl3)
(4)酸化物:Ea2O3 密度5.5g/cm³(Ga2O3 密度3.9g/cm³)
(5)塩化物の沸点:100°C以下(86°C)
| III. | 長周期型周期表 |
現在よく利用されている周期表は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)が推奨している長周期型周期表である。この周期表では、元素を18族(縦方向で18)にわけ、7周期(横方向で7)に分類している。そして、周期表上での元素の分類は、電子殻(でんしかく)に入っていく電子を基準にしている。以前は、族の数を8までとして典型元素をa亜族、遷移元素をb亜族として分類する方式や、元素の性質には無関係にはじめにあらわれたものをA亜族、後にあらわれたものをB亜族と分類する方式を採用していたことがある。また、その際には族をあらわす数字としてローマ数字(→ 数字)がつかわれていたが、現在ではアラビア数字がもちいられている。
第1周期は水素とヘリウムの2つの元素がある。この2つの元素は、もっとも内側の電子核であるK殻(電子が入る軌道は1本あり、ここに電子は2個入れる)に電子が入っていく系列である。第2周期の元素は、K殻の外側にあるL殻に8個の電子が入る系列で、第3周期はM殻に8個の電子が入っていく系列である。これらの周期は短周期とよばれている。
第4周期以降は長周期とよばれ、第4、第5周期には18個の元素が、第6周期にはランタノイドをふくめ32個の元素がおさめられている。第7周期にはアクチノイドがふくまれている。この周期は人工的につくられた放射性元素によって、103番元素のローレンシウムまでの欄がうめられている。
最近では、これよりもさらに重い超ウラン元素も人工的につくりだされており、111番までが正式な名称がつけられているが、112番以降は仮の名称がつけられている。→ 超アクチノイド元素