| 検索ビュー | ポリ塩化ビニル | 項目ビュー |
| I. | プロローグ |
CH2=CHClの化学式をもつ塩化ビニルモノマーの付加重合(→ 重合)したもの。略記号PVCとしめされる。
| II. | 性質 |
塩化ビニルの特徴は、可塑剤(かそざい)をくわえることにより、やわらかいフィルムから、かたいパイプまで幅広く多様な材質のものがつくれることである。軟質塩化ビニルは電気絶縁性にすぐれているほか、物性や加工性にもすぐれており、価格が安価なことから広範な分野につかわれている。一方、硬質塩化ビニルは断熱性や耐久性にすぐれている。塩化ビニルは塩素をふくむため、難燃性であるとともに、自己消火性があり、炎の中ではくすぶって燃えているが、炎から遠ざけると容易にきえてしまう。
塩化ビニルの欠点としては、軟質では可塑剤がふくまれているためリサイクルしにくいことがあげられる。また、熱すると分解しやすく、使用済製品を焼却することによって塩化水素ガスが発生して焼却装置をいためるだけでなく、周囲にも酸性ガスをまきちらすことになる。燃焼にともない発生するガスは、塩化水素や二酸化炭素以外に一酸化炭素もある。さらに低温の燃焼では、毒性の強いダイオキシンが発生することがわかっており焼却廃棄は容易ではない。このように、環境問題への観点から塩化ビニルの使用が敬遠されており、代替製品の開発要請が強くなっている。→ ダイオキシン汚染
また、塩化ビニルモノマーには発癌性(はつがんせい)が指摘されており、WHO(世界保健機関)の国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)の発癌性分類では、最上位のグループ1(ヒトに対して発癌性をしめす)にランクされている。以前、食品容器につかわれていたポリ塩化ビニル製品から塩化ビニルモノマーが検出され、大きな問題になったことがあった。
| III. | 用途 |
軟質塩化ビニルフィルムの利用は、50年の歴史をもっている。日本で一般につかわれはじめたのは透明ビニル風呂敷で、これは防水性もあり、人気が高かった。その後、農業用のビニルハウスに使用されるようになり、季節を問わず多くの野菜や果物が収穫できるようになった。
1954年(昭和29)に東京水道局に採用されたことを契機に、硬質塩化ビニルは、広く水道管パイプ用としてつかわれるようになった。今でも、年間40万t近い需要があり、電線被覆材(ひふくざい)や自動車内外装部品、農業用、建材用(フローリング、壁紙、パイプ、雨樋、波板、壁材、寒冷地向住宅用サッシなど)に広くつかわれている。また、文具・雑貨用や包装用等に幅広く使用されている。しかし、最近では合板用の建装フィルムにはポリオレフィンの台頭がいちじるしく、文具・雑貨等の透明フィルムも軟質塩化ビニルから、ソフトポリオレフィンフィルム(ソフトPOフィルム)が販売されはじめている。
| IV. | 可塑剤の問題 |
軟質塩化ビニルに添加されているフタル酸エステル系の可塑剤が微量ではあるが溶出することが知られており、欧米では3歳以下の子供用玩具(がんぐ)には軟質塩化ビニル樹脂の使用を規制している。これは、フタル酸エステル類が、経口や吸入、皮膚への接触を通じて摂取される可能性が指摘されているためである。フタル酸エステル類は「環境ホルモン」の一種として作用することが懸念されており、子供の玩具や食品にふれるラップフィルムなどへの使用がひかえられている。最近では、塩化ビニルをほかのプラスチックにおきかえる試みがあるものの、塩化ビニルのすぐれた性質をそのまま再現できないこともある。たとえば、台所でよくつかわれている食品用ラップフィルムには、ポリエチレン製のものもあるが、容器との接着性は塩化ビニルにくらべるとかなり悪いようである。