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| I. | プロローグ |
太陽系の小天体の中でもおもに岩石質で、太陽に近づいても彗星のように一部を蒸発させることがない天体のこと。天文学では、太陽系外縁天体も蒸発活動がみられなければ小惑星番号をつけ、小惑星にふくめることがある。その数はきわめて多く、主として火星と木星の軌道の間の小惑星帯を、ほぼ円軌道に近い楕円軌道(だえんきどう)をえがいて運行している。現在では、望遠鏡の性能が向上したこともあり、2008年5月現在で軌道が確定、登録されたものは約18万6000個に達している。大型望遠鏡による探査(サーベイ)の結果、年々発見数はふえている。軌道が未確定の小惑星の数は数十万個あるといわれている。なお、小惑星は彗星などとともに、06年8月の国際天文学連合(IAU)の総会で太陽系小天体に分類されることとなった。
| II. | 大きさ |
小惑星で最大のものは2003年11月に発見された小惑星番号90377番セドナとよばれる天体である。アメリカのパロマー山天文台(→ へール天文台)で発見された太陽系外縁天体のひとつで、直径は1200~1800kmと推測されている。なお、1801年に最初に発見された1番ケレス(セレスとも)は、2006年に国際天文学連合により小惑星ではなく、準惑星に分類されることになった(→惑星の「太陽系の惑星の定義」)。直径が100kmよりも大きな小惑星の数は約200個、それよりも小さいものは何千とある。しかしながら、太陽系内の小惑星すべての質量をあわせても、月の質量よりもはるかに小さい。
大きな小惑星はほぼ球形をしているが、直径が160kmよりも小さなものは細長い不規則な形が多い。たいていの小惑星は、大きさにかかわらず、自転軸の周りを5~20時間かけて1回転している。また、火星のデイモスやフォボス、木星のレダやアナンケ、土星のフォエベ、また発見があいつぐ天王星や海王星などの衛星はきわめて小さなことから、これらの惑星にとらえられた小惑星ではないかと考えられている。さらに近年は、すでに予想されていたことだが、一部の小惑星は連星を形成しており、衛星をともなっていることも次々と確認されている。
| III. | 軌道 |
火星と木星の間の主小惑星帯(メインベルト)とよばれる軌道を周回する小惑星群は惑星の残骸(ざんがい)ではないかと考えられている。これらの小惑星は大きな惑星に成長しかけたものの、近くにある木星の重力の影響によって惑星を形成できなかったものと思われる。最初は数十個の小惑星が存在していただけだったのが、たがいに衝突してバラバラになり、数をましてきたと考えられている。
主小惑星帯にある小惑星番号2番パラスや4番ベスタなどの小惑星の多くは太陽から2~4天文単位(AU:1AUは約1億4960万km)の軌道(木星との公転周期比が1/2~1/4)に集中しているが、その中には比較的小惑星が少ない領域がいくつかあり、カークウッドの間隙(かんげき)とよばれている。これは小惑星が木星の重力の影響により、木星の公転周期と整数比になる共鳴現象によって、小惑星の軌道が大きく変化し、ほかの小惑星へ衝突したり、惑星へ接近することでその数が減少した結果だと考えられている。
このような密集した小惑星の少ない領域とは別に、トロヤ群小惑星とよばれる集団は、木星のラグランジュ点と同じ軌道上(木星の前方60度と後方60度の所)をうごいている。また、トロヤ群(木星との公転周期比が1/1。以下同)よりも火星に近い軌道にはヒルダ群(公転周期比は2/3)、チューレ群(公転周期比は3/4)とよばれる小惑星群もある。こうした主小惑星帯とは別に、1977年、土星と天王星の間の軌道上で2060番キロンが発見された。
主小惑星帯とはちがい地球近傍の軌道をとおる小惑星群としては、1980年代までに、火星の軌道を横切る約75個のアモール型小惑星(アモール群)、地球の軌道を横切る約50個のアポロ型小惑星(アポロ群)、地球軌道よりも軌道が小さい10個以下のアテン型小惑星(アテン群)が発見された。433番エロスは、38 × 15 × 14kmという細長い形をしている。一風かわった形をしたアポロ型小惑星の3200番パエトーンは、幅が約5kmで太陽に2090万kmの距離まで接近するが、これよりも太陽に近づく小惑星はまだ発見されていない。パエトーンは、毎年みられるふたご座流星群(→ 流星群)にも関係している。→ 地球近傍小惑星
| IV. | 小惑星の探査 |
小惑星はきわめて小さな天体であることから望遠鏡での観測もむずかしく、最近までは軌道を確定したり、光度を測定したりする程度であった。しかし、1991年10月、木星にむかう途中のNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機ガリレオは、951番ガスプラのクローズアップ写真を撮影することに成功した。これは小惑星の初のクローズアップ写真で、ガスプラは小さないびつな形をしていて、多くのクレーターがあり、表土でおおわれていることがわかった。ガリレオは、93年8月にも243番イダの撮影に成功し、そのときイダには衛星ダクティルがあることを発見した。
また、2000年2月には小惑星探査機ニア・シューメーカーがエロスの周回軌道にのることに成功、長期にわたる観測をつづけたのち、01年2月12日、史上初の小惑星への軟着陸に成功した。さらに、03年(平成15年)5月には、日本の宇宙科学研究所(現、宇宙航空研究開発機構)が小惑星からのサンプルをもちかえる探査機はやぶさをうちあげた(→ サンプルリターン計画)。はやぶさは、日本のロケット開発者である糸川英夫にちなんで命名されたアポロ群に分類される小惑星の25143番イトカワへ05年9月に到着し、詳細な観測をおこなった。さらに、同年11月には小惑星への軟着陸および再離陸をおこない、サンプルを採取した。07年10月にはイトカワ近傍から離脱し、地球への帰還は10年6月ごろを予定している。
2007年9月、NASAは小惑星探査機ドーンをうちあげた。小惑星帯の中でももっとも大きな天体である準惑星ケレスと、小惑星ベスタに接近し、その周囲をめぐりながら探査をおこなうもので、ベスタへの到着は12年4月、ケレス到着は15年2月の予定である。
| V. | 小惑星の分類 |
地球で発見された隕石の大部分は、小惑星のかけらであると考えられる。小惑星をスペクトルによって分析すると、隕石と似たいくつかのタイプに分類できる。
地球からみえる小惑星の約75%はCタイプに属し、炭素質コンドライトの石質隕石と関係がある。これは、太陽系内で最古の物質であると考えられている。暗色をしめすのは炭化水素をふくむためで、水の吸収をあらわしている。したがって、Cタイプの小惑星は地球や月とはことなり、形成されて以来一度もとけたりあたためられたりしたことがない。
Sタイプの小惑星は、石鉄隕石と関係があり、ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウムをふくむニッケルや鉄からできている。そして、全体の約15%を占めている。のこりの大部分を占めるMタイプの小惑星は、隕鉄と構成が同じである。つまり鉄とニッケルの合金だということであり、惑星の外層が衝突によってとりのぞかれ、あとにのこった芯(しん)なのかもしれない。
ベスタを代表とするごく少数の小惑星は、まれなタイプの隕石、無球粒隕石と関係がある。ベスタなど、溶岩の流れたあとのような表面がみられるので、過去に融解したことをものがたっている。しかし、ベスタなど一部の小惑星は融解し、ほかの多くのものは融解していないのはなぜか。ひとつの説明として、初期の太陽系には放射性同位体の濃度の高い部分があり、小惑星をとかすのにじゅうぶんな熱を発生させたことも考えられている。