写実主義
印刷するには、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。
写実主義
II. 美術

美術の分野では、写実派として明確に定義される潮流・流派まで発展することはなかったが、写実主義的なアプローチはさまざまな時代にいろいろな方法でこころみられた。美術作品の特徴をいうときにつかわれる「写実主義的」という言葉は、「美しい」ものを「醜く」えがくことを意味しているにすぎない場合が多い。日常生活の情景をえがく場合をさすことが多いので、この用語には社会への批判がおのずとふくまれている。「石割り人夫」(1849)をかいたクールベや、ドーミエ、ミレーといったフランスの画家たちの作品は、社会派リアリズムとよばれている。

アメリカでは、ウィリアム・シドニー・マウントが「シトーキットでのウナギ漁」(1845)でロングアイランド島の静かな情景を写実主義的な様式でえがいている。主題を簡潔ではあるがていねいに表現し、同時代に東部諸州の風景を即物的にえがいたハドソン・リバー派のロマン主義的な傾向の流れをくんでいる。アメリカの写実主義的な絵画には、トーマス・エーキンズがかいた実直で即物的な同時代人の肖像画をはじめ、20世紀初頭のアメリカの都会の日常生活をありのままえがこうとしたアシュ・キャン・スクール(ごみ箱派)とよばれる画家たちの作品もふくまれる。