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| VII. | スペクトル線 |
スペクトル線とは、ある波長の所で線状にあらわれるスペクトルをいう。ある物質を蒸発させて、その蒸気が光りだすまで加熱すると、あるきまった色を発するようになる。ナトリウムランプの黄色、ネオンランプの赤色、水銀灯の青緑色などがそうである。これらの光のスペクトルでは、真っ暗な中にいくつかの特定の波長の線が明るくみえる。たとえばナトリウムの蒸気では、波長およそ589.1nmと589.6nmとの2本の線が黄色をつくりだしている。この2本の間の色の違いは人間の目ではわからないが、高性能の分光器をつかえば区別することができる。2本の線をそれぞれD2線、D1線とよぶ(→ フラウンホーファー線)。
ナトリウムの蒸気のスペクトルのエネルギーは、ほとんどが2本のD線に集中しているが、スペクトルにはほかにもたくさんの弱い線がある。アークで高温にしたり、電気火花で高温・電離状態にさせたりすると、ナトリウムのスペクトルにはたくさんのスペクトル線があらわれるようになる。
解像度の高い分光写真器をつかうと、1本1本のスペクトル線がとても細く、それ以外の部分はほとんど真っ暗なスペクトルがあらわれ、正確に波長をはかることができる。D2線の波長は588.9977nmと測定されている。質量のことなる同位体のない純粋な水銀のスペクトル線ではさらに正確な測定がされている。
| 1. | バルマー系列 |
スペクトル線が出る理由を説明できたのは、まず水素原子のスペクトルについてであった。水素原子はもっとも単純な原子であり、スペクトルも単純である。1880年代初め、スイスの数学者・物理学者ヨハン・バルマーが、水素原子の可視スペクトルに、波長656.3nm、486.1nm、434.0nm、410.2nmの4本のスペクトル線を発見した。これらはそれぞれ、Ha、Hβ、Hg、Hδとよばれる。バルマーは、この4つの波長が1つの単純な数式であらわされることをしめした。

ここでNはそれぞれで3、4、5、6の値をとる。この式であらわされるスペクトル線の系列をバルマー系列という。その後、イギリスの天文学者ウィリアム・ハギンスが、この式のNの値をつづけてふやしていった波長のスペクトル線を、水素のスペクトルの紫外線領域に発見した。Nの値が大きくなるにつれてスペクトル線どうしが近づき、364.6nmで区別がなくなる。