油脂
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油脂
I. プロローグ

天然にひろく存在する有機化合物のグループ。常温で固体のものを脂肪とよび、液体のものを脂肪油とよぶ。化学的には、3分子の脂肪酸と1分子のグリセリンとが結合した化合物であり、酸(脂肪酸)とアルコールの化合物であるエステルに分類される。このため、加水分解すると、下式のようになり脂肪酸とグリセリンに分解される。


純粋な油脂は無味、無色、無臭の物質で、中性をしめす。水には不溶だが、アルコールにはわずかに溶解し、エーテルなどの石油系の有機溶媒には容易にとける。脂肪酸を大きくわけると、分子の中に二重結合や三重結合がない飽和脂肪酸と、それらがある不飽和脂肪酸とがある。重さは水よりも軽い。

脂肪油として分類される液体は、一般には油とよばれている。しかし、なかにはマッコウクジラ油のように、化学的にはろう(蝋)に分類されるものもある。ろうも脂肪酸とアルコールのエステルだが、油脂が3個のヒドロキシル基(水酸基)–OHをそなえた3価アルコール、グリセリンによるエステルであるのに対し、ろうは1個のヒドロキシル基のみをもつ1価アルコールによるエステルである。ろうの化学的性質は脂肪に近く、常温では固体となる。そのほか石油や精油も油とよばれるが、石油は炭化水素が主成分で、脂肪油とはことなる。また植物を蒸留してえられる精油は、各種の有機化合物からなる混合物なので、脂肪油とは区別される。