| 熱帯雨林 | 項目ビュー | ||||
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| III. | 熱帯雨林のタイプ |
熱帯雨林は、およそ南回帰線と北回帰線にはさまれた地域で、もっとも寒い日でも平均気温が18°C以上の地域(熱帯)に分布する森林のことである。降雨量や雨季といった気候や海抜高度、緯度、あるいは単独で存在するか、他の森林とともに存在するかによって分類される。地域的には、赤道の南北10度までの赤道地帯にみられる森林をさすが、熱帯より外まで広がっている場合もあって、そのような森林は亜熱帯雨林という。雨季と乾季の周期がはっきりしている地域では、熱帯季節林といわれる。熱帯林は熱帯の山地にできることもあり、そのような森林は雲霧林という。
一般的によくつかわれるジャングルという言葉は、未開の、自然のままの場所を意味するヒンドゥスターニー語(→ インドの言語)のjangalからきているが、英語のジャングルは木々や下生え、蔓植物が密生していて、とおりぬけることのできない熱帯林の植生を意味するようになった。熱帯雨林というとジャングルをイメージする人が多いが、実際の熱帯雨林では、樹木が密生し、林床まで日光がとどかないために、ほとんど下生えはなく、この意味で熱帯雨林はジャングルではない。
| 1. | 熱帯雨林 |
熱帯雨林は高温で湿度の高い熱帯地域にみられる常緑広葉樹群系(→ 常緑樹)である。熱帯雨林の分布に影響をあたえる全般的な要因は水分である。ただし、土壌など他の要因も局地的には重要な場合がある。年降水量は1500~4000mm、平均気温は25~35°Cである。年間を通じて一定した気温と湿度、そして極端な乾季がないことが、この多様で、こわれやすい生態系をつくりだしている。
上層の林冠と、そこからさらにつきでた高木は、連続的な層をなさない。巨大高木は高さ60mに達することもあり、これをささえるために、板状に広がった板根(ばんこん)をもっている。それより下層の木はしばしばもっと連続的な林冠となり、さらに幹や枝には蔓植物や着生植物が豊かにしげる。
このような植物の密生のために、日光はほとんど林床までとどかない。実際、最下層の林床にまで達するのは、最上層の林冠にふりそそぐ光のわずか1%だけである。したがって林床には、日陰に耐えられる種類をのぞいては、植物は生えない。
| 2. | 亜熱帯雨林 |
一般に亜熱帯雨林は、熱帯雨林より高緯度の、風のふきつける海岸沿いを占める。ただし、この地帯をこえた場所にも広がることがある。中央アメリカの一部と西インド諸島、インド南西海岸、ミャンマーの海岸沿い、東南アジア、ブラジル沿岸、マダガスカルの東沿岸にみられる。
赤道からはなれるにつれて、気温の変化の幅も大きくなる。気温の変動と雨季と乾季があるために、熱帯雨林とくらべ、これらの森林にみられる植物の種の多様性(→ 生物多様性)はとぼしくなる。上層の林冠は熱帯雨林のそれよりも開けており、中間層にみられる蔓植物も少ない。
| 3. | 熱帯季節林 |
熱帯季節林は、熱帯雨林が気候的および緯度的に限界に達した地点で、熱帯雨林にかわってあらわれる。たいていの熱帯季節林は海抜1000m以下でみられる。
一般には、熱帯季節林の植物は熱帯雨林よりも背が低い。この森林の特徴は、土壌の水はけがよいことである。はっきりした乾季があり、その時期は水不足のために植物の生長はよくない。多くの種は乾季に落葉する。このように季節的な乾燥をうける森林を「季節林」という。
熱帯季節林では林床に日光がよくあたるので、下生えが密生することが多い。さまざまな蔓植物が繁茂する。乾季には山火事がおこりやすく、森がやけたあとは、サバナまたは木のまばらな林にかわることがある。
熱帯季節林がとくに広域にみられるのはミャンマー、カンボジア、タイ、インドネシア(とくにジャワ島とスラウェシ島)である。これらの地域では年降水量が平均1300mmで、乾季は4~5カ月つづくことがある。西アフリカにも広大な熱帯季節林があるが、南アメリカではそれほど広域にはみられない。
| 4. | 雲霧林 |
ひとつの熱帯雨林内でも、高度がますにしたがって、植物の種類、植生の構造はかわりはじめる。降水量や気温、風、湿度をふくむ、気候の高度的な変化は植生に影響するもっとも重要な要因である。ただし、局地的な地質も重要な役割をはたすことがある。
熱帯の山地では、高度が100mますごとに、平均気温は0.5°C低くなる。雲霧林は、熱帯雨林内、または、それに隣接する海抜1000~3000mのあたりにみられる。そのため山岳林ともいわれる。植物の種は熱帯植物ばかりではなくなり、温帯産の植物が多くなる。
高度がますにしたがって、木は小さくなり、平地ほど多様ではなくなる。幹はねじれたり、こぶをもつようになり、蘚類や苔類におおわれはじめる。これらの植物は霧や雲におおわれた環境でよくそだつからである。シダやタケもふつうにみられるようになる。
雲霧林がとくに豊富なのは、インドネシア、中央アメリカの一部、南アメリカのアンデス山脈の東側斜面である。
| 5. | マングローブ林 |
熱帯および亜熱帯の沿岸地域は、しばしば潮間帯森林群落にふちどられている。この群落は周期的な浸水、湿地性の土壌、塩分をふくむ環境条件によく適応した植物からなる。このようなマングローブ群系は、熱帯雨林ではないが、熱帯雨林の海岸側の境界にそって発達することが多い。
熱帯雨林にくらべれば、マングローブ林にみられる植物の種数は少ない。海水や汽水(→ 汽水域)にさらされ、さらに潮汐の影響もある程度はうけるために、環境条件がきびしいからである。樹高は2~10mである。
豊かに発達したマングローブは汽水域にみられる。インド洋・太平洋地域に分布するマングローブの種は35種以上に達する。一方、南北アメリカ大陸では10種にもみたない。ヒルギダマシ属とヤエヤマヒルギ属は熱帯に広く分布しており、その他の地域にも広がっている。