検索ビュー 希ガス

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希ガス
I. プロローグ

周期表の18族に属する6元素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの総称。いずれも融点と沸点がひじょうに低く、常温では気体である。化学的に安定なことから、不活性ガスともよばれる。周期律

II. 化合物

希ガスの原子は、いちばん外側の軌道をまわっている最外殻電子(価電子)の数がヘリウムは2個、それ以外のものは8個で、電子軌道(原子)のすべてが電子でみたされ、いずれも安定な電子配置をもっている。そのため、長い間、他の元素と化学結合(化学反応)をつくらず、単独の原子からなる単原子分子(分子)として存在するものとみなされてきた。しかし現在では、希ガスのうちクリプトン、キセノン、ラドンの3元素は化合物をつくることが知られている。1962年、イギリス人化学者ニール・バートレットは、はじめて複雑なキセノン化合物の合成に成功した。その後、アメリカ・エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所の科学者が、キセノンとフッ素の単純な化合物(4フッ化キセノン)の合成に成功。さらにラドンとクリプトンの化合物も合成され、バートレットの実験の正しさが裏づけられた。クリプトン化合物の合成はひじょうにむずかしいが、キセノンとラドンは容易にフッ素と反応する。そのため、最初にフッ素と反応させてフッ化物をつくり、次にキセノン化合物、ラドン化合物を合成する。

III. 性質

キセノン、クリプトン、ラドンの最外殻電子は、原子核までの距離が長く、また内側にある電子が原子核の引力をさえぎるため、原子核との結合が弱く、電子軌道から離脱しやすい(電気陰性度)。またキセノン、ラドンがフッ素原子と結合して放出するエネルギーは、電子を原子核からひきはなすのに必要なエネルギーより大きいので、容易に化合物をつくることができる。フッ化キセノン、酸化キセノンは強力な酸化剤であるが、化学的には安定な物質である。しかしラドンは放射性元素(放射能)で、もっとも安定な放射性同位体である222Rn(ラドン222)でも約3.82日の半減期でa崩壊(放射性崩壊)して別の物質に変化するため、ラドン化合物はかぎられた時間内しか存在しない。クリプトンも、化合物の形成で放出されるエネルギーは、電子離脱に必要なエネルギーより大きいが、その差はわずかである。ヘリウム、ネオン、アルゴンは、電子と原子核との結合が強力なので、化合物の形成は考えられない。

高圧下で液化した希ガス、たとえば液化キセノンは、赤外スペクトルの測定分析の溶剤として利用されている。これらの液化ガスは赤外線を透過するので、溶解した試料の赤外スペクトルをみださないためである。希ガス元素は放電管(電気照明)に封入してアーク放電すると、それぞれ特有の色を発色することから、ネオンサインなどに利用されている。