仏教
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仏教
II. 教義

仏教のもっとも特徴的な点は、絶対者である人格をもった「神」をたてず、「仏の教え」であると同時に「仏になる教え」でもあることである。仏教はまた、きわめてひろい範囲にひろがっており、5億人以上の信徒がいると考えられているので、地域、宗派、民族によって歴史と伝統がことなり、教義や教団のあり方もちがう。しかし、釈迦を仏陀(仏)として崇拝し、その教え(法)をきき、禅や念仏などの実践修行によって悟りをえ、解脱することを目的としている点では一致している。

教義の中心は「諸行無常、一切行苦(いっさいぎょうく)、諸法無我(しょほうむが)、涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」の4句にまとめられ、これを「四法印」とよぶ。「諸行無常」は現象世界の一切は生滅変化し、常住不変のものはない(無常)、「一切行苦」は人間の存在そのものは苦である、「諸法無我」はあらゆる事物は永遠不滅の実体や本性をもたず、すべてが空である(無我)、「涅槃寂静」は煩悩を断じつくした静けさの境地を涅槃(ニルバーナ)とよび、それを理想とするという意味である。

すなわち仏教は、この世の中には確実なものはひとつもなく、すべてはあらわれては消える泡のようなはかない存在であり、永遠の輪廻をくりかえす苦にみちた存在であることをおしえる。そして、苦を滅しさり、輪廻からのがれる、すなわち解脱することで幸福を得ることをめざせと説いているのである。

真理にたってこの苦悩の因果関係を認識し、これから解脱する方法を4つの項目をあげて説いたのが「四諦」で、苦を滅却するための修行法として「八正道」が説かれている。また、「四諦」でも説かれているように、一切のものは因果関係によって生じるとする考えが十二因縁説に代表される「縁起」の思想で、仏教の中心的思想となっている。こうした釈迦による世界に関する真理の教えが「法(ダルマ)」にほかならない。

仏教はインドから東伝して、チベット、モンゴル、中国、朝鮮、日本へつたわり、また、南伝してスリランカ、ビルマ、タイ、インドシナ3国およびインドネシアへもつたわった。そのおよそ2500年の歴史の間に、時代と地域に応じて数多くの師父たちが仏教への理解をしめした著作をのこした。釈迦の教説が中心であることはいうまでもないが、仏教は師父たちの著作もふくめて、総体としての精神的営為とみなされなければならない。