加速器
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加速器
III. サイクロトロン

アメリカの物理学者アルネスト・ローレンスは、1930年に円形加速器サイクロトロンを開発して39年のノーベル物理学賞を受賞した。

サイクロトロンは線形加速器を螺旋状(らせんじょう)にまきあげたものに似ていて、たくさんの管のかわりに、中には加速用の電極が入った2つの半円形の真空室があるだけである。それは背中合わせになった大文字Dの形をしているので、ディーとよばれる。強力な電磁石でつくられる磁場によって、ディーの中心部のイオン源から出た電荷粒子は円をえがいて運動する。電荷粒子はディーとディーの間隙を横切るたびに高周波電圧により加速されて、エネルギーをまし、加速器の周辺部のほうへむかって螺旋状に運動半径をましていく。じゅうぶんなエネルギーを獲得すると、電荷粒子は加速器から外にとびだす。

1. シンクロサイクロトロン

サイクロトロン内で原子核の電荷粒子が20MeV以上のエネルギーを獲得すると、相対性理論にのっとり、電荷粒子の質量が相当に増加する。そのため、電荷粒子は減速し、ディーの間にくわえられる加速用パルスの位相にずれがおこる。この問題を解決するために、旧ソビエト連邦(ソ連)の物理学者ウラジミール・ベクスレルとアメリカの物理学者エドウィン・マクミランが、周波数変調を利用したシンクロサイクロトロンを開発した。

シンクロサイクロトロンでは、電荷粒子を加速する高周波電圧の周波数を荷電粒子の加速につれて自動的に調節をおこなう。つまり、荷電粒子の質量が増加すると、加速電圧の周波数がわずかに低くなり、荷電粒子と歩調をあわせる(シンクロする)のである。その結果、サイクロトロンよりも加速することができる。しかし、周波数による変調をおこなうために、イオンビームはパルス状となって、連続した荷電粒子の流れをとりだすことができない。また、最大エネルギーがませばますほど、荷電粒子は螺旋運動のための大きな空間を必要とし、装置は大型になる。