| I.
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プロローグ |
同位体とは、同じ元素の核種(原子番号は同じ原子)だが、質量数のことなるものどうしのこと。その中で、放射線(→ 放射能)を放出しながら原子核が自然に壊れていく不安定なものを放射性同位体という。天然に存在しているものと、人工的につくりだされたものとがある。ラジオアイソトープともよばれ、RIと略してあらわされる。
放射性同位体は、本来同じ元素の同位体の中で、安定同位体と区別する意味でつかう言葉であるが、あやまって放射性元素の核種をさしてつかわれることがある(→ 核化学)。別表に例として炭素の同位体をあげる。
| II.
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半減期 |
放射性の核種の原子核が壊れていくのには一定の速さがあり、元の原子数(または素粒子数)が半分になる時間を半減期といい、それによって核種の寿命をあらわすことができる。半減期は核種によって決まっており、温度や圧力などの外的な要因では変化しない。この性質を利用して炭素(C)の放射性同位体である14C(炭素14)をつかい、遺跡などで発見された木製品などの同位体組成をしらべれば、いつごろのものか年代決定をおこなうことができる(→年代測定法の「炭素14法」)。また、地質時代の年代測定には、半減期が2億4550万年程度の234U(ウラン234)、40K(カリウム40。半減期が12億7700万年)や、さらに半減期の長い238U(同44億6800万年)などが利用されている。なお、半減期がいちじるしく長いものは、安定同位体とみなすことができる。
おもな天然放射性核種の半減期
82Se(セレン82) 1.08 × 1020億年
87Rb(ルビジウム87) 475億年
113Cd(カドミウム113) 7.7 × 1015年
115In(インジウム115) 4.41 × 1014年
130Te(テルル130) 7.9 × 1020年
おもな人工放射性核種の半減期
³H(三重水素・トリチウム) 12.33年
14C(炭素14) 5730年
13N(窒素13) 9.965分
15O(酸素15) 122.24秒
24Na(ナトリウム24) 14.959時間
26Al(アルミニウム26) 74万年
| III.
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放射性崩壊 |
放射性の核種が放射線を放出して壊れていくことを放射性崩壊(または壊変)とよぶ。放射性崩壊は、放出する放射線の種類により大きく3つに分けられる。
アルファ崩壊(a崩壊)では、アルファ粒子(ヘリウム、4Heの原子核)を放出して原子核が壊れていく。このとき、元の原子核は原子番号が2つ、質量数が4つ小さくなった原子核になる。たとえば、質量数226のラジウム(226Ra)は質量数が222のラドン(²²²Rn)となる。
ベータ崩壊(β崩壊)では、原子核内の中性子(n)がベータ粒子(e-:高エネルギーをもつ電子)と反ニュートリノ(→ ニュートリノ)を放出して、陽子(p)にかわる。このとき、元の原子核は原子番号が1つ大きくなった原子核になるが、中性子が陽子にかわっただけなので、質量数はかわらない。たとえば、質量数232のトリウム(²³²Th)に原子炉内で熱中性子(n)を照射すると、プロトアクチニウム(²³³Pa)をへて核燃料となる²³³Uへかわる。
ガンマ崩壊(g崩壊)では、ガンマ線とよばれるX線より強いエネルギーの電磁波を放出して原子核が壊れていく。原子番号、質量数に変化はない。アルファ崩壊、ベータ崩壊にともない生じることが多い。
| IV.
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人間に有害な放射性核種 |
近年、核実験やチェルノブイリ原子力発電所の事故などにともない、放射性の核種が自然環境中に拡散されている。人間の体内にとりこまれることで、以下のようにさまざまな影響がでる恐れがある。また半減期の長いものもあり、将来にわたって深刻な問題をひきおこすことが懸念されている。
³H(水素3:トリチウム) 半減期12.33年
β粒子を放出して³Heに変化する。
核実験や原子力発電所の炉心で生成するが、おもに水分子中にふくまれて体内に入ってくる。
137Cs(セシウム137) 半減期30.07年
セシウムはカリウムと同じ周期表1族の元素で、アルカリ金属とよばれている。カリウムに性質がよく似ているため、食物をへて人体内に入ると、カリウムのかわりに広く体内(全身の筋肉質)に分布していく。排出ははやく、数十日から100日くらいで体内量の半分が排出される。
90Sr(ストロンチウム90) 半減期28.78年
ストロンチウムはカルシウムと同族の元素で、アルカリ土類金属とよばれ、たがいに化学的性質がよく似ている。そのため、人体にとりこまれた場合は、骨の主成分であるリン酸カルシウムのかわりに、骨や骨髄(こつずい)に蓄積されていく。そこで崩壊していくため、骨髄細胞を傷つけて白血病をひきおこす可能性がある。
131I(ヨウ素131) 半減期8.0207日
131Iがとりこまれた場合、成長期の子供では甲状腺に多く蓄積されていく。チェルノブイリ原子力発電所の事故では131Iがもれだしたと考えられたため、発電所周辺の子供たちにはヨウ素錠があたえられた。これは、あらかじめ甲状腺をヨウ素で飽和させることにより、放射性同位体の131Iが体内にとりこまれた場合でも、甲状腺に蓄積されないようにするためである。131Iは半減期が約8日と短いため、3カ月がすぎれば放射能が1000分の1以下に低減する。
239Pu(プルトニウム239) 半減期2万4110年
きわめて毒性が強い。微粒子が肺に吸入されて付着すると、崩壊にともないアルファ粒子を放出すため、肺癌の原因になったり、DNAに損傷をあたえ、白血病をひきおこしたりする。半減期が長いために問題が大きい。
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