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| I. | プロローグ |
重力作用をおよぼしあいながら共通の中心をまわっている、何億個もの星からなる巨大な集合。太陽系が属する銀河をとくに銀河系(→ 天の川)とよび、地球から肉眼でみえる星はすべて、この銀河系に属している。太陽は銀河系の中の星の1つにすぎない。銀河には星や惑星のほか星団、水素原子のガス・水素分子・水素・窒素・炭素・ケイ素などからなる複雑な分子や、宇宙線などがふくまれる。
| II. | 初期の銀河研究 |
アンドロメダ座の中にみえる渦巻銀河を最初に記述したのは、ペルシャの天文学者スーフィーであった。18世紀半ばまでに確認された銀河はわずか3つしかなかった。1781年、フランスの天文学者シャルル・メシエは約100の銀河の目録を発表した。これは「メシエ・カタログ」とよばれ、銀河はメシエ(M)番号であらわされる。たとえばアンドロメダ銀河はM31とよばれる。
18世紀後半にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェル、カロリン・ハーシェル、ジョン・ハーシェルによって何千という銀河が確認され、記載された。1900年以後は天体撮影によって多数の銀河が発見されている。地球からひじょうに遠くにある銀河は写真上ではあまりに小さいため、星と区別することができない。最大の銀河は、銀河系の約13倍もの星をふくんでいる。
1912年、アメリカの天文学者ベスト・スライファーは、大部分の銀河のスペクトル線が赤いほうにずれていることを発見した(→ 赤方偏移:分光学)。アメリカの天文学者ハッブルは、これは、すべての銀河がたがいに遠ざかるように動いている証拠であり、宇宙が膨張しているという結論をくだした。宇宙が膨張をつづけるのか、それとも引力によって銀河をひきとめ出発点へと収縮させられるのかは、わかっていない。→ 宇宙論
| III. | 銀河の分類 |
天体望遠鏡で見たり写真に撮ったりしても、個々の星がみえるのはごく近くの銀河だけで、大部分の銀河はすべての星の光があわさってみえる。銀河の形にはいろいろなものがある。球状で中心に明るい核がある楕円銀河とよばれる銀河は、古い種族の星をふくんでおり、ふつうガスやちりがほとんどなく、新しい星が形成されることもない。楕円銀河の大きさは一定しない。巨大なものから小さなものまで、さまざまな大きさがある。
楕円銀河とは対照的に、渦巻銀河は、古い星だけでなく多くの若い星とガスやちり、星の誕生する分子雲をふくみ、円盤の形をしている。明るい若い星やガス雲は、銀河の周りをとりまく渦巻腕の中にみられる。また、円盤の中心部はバルジとよぶふくらみをなし、周辺部は暗い古い星からなるハローがとりまいている。
完全な渦巻き形になっていないそのほかの円盤状の銀河は、不規則銀河に分類される。不規則銀河にも大量のガス、ちり、若い星がふくまれているが、大きな銀河の近くにあるのがふつうで、質量の大きな銀河の潮汐力(→ 潮汐)によって変形したと考えられる。きわめて奇妙な形をした銀河が、2~3個の銀河からなるグループの中でいくつか見つかっているが、相互の潮汐作用により渦巻腕をゆがめ、ねじれた円盤と長くのびた尾をつくりだしたのだろう。
クエーサーは星のようにみえるが、強い赤方偏移をしめすので、ひじょうに遠くにある天体であることがわかっている(→ 電波天文学)。クエーサーは中心核の中に巨大なブラックホールをもつ活動銀河であると考えられており、電波銀河やとかげ座BL天体と密接な関係がある(→ 活動銀河核)。また、クエーサーや電波銀河の中心核から物質が光速に近い速度で放出されているのが観測される (→ 宇宙ジェット)。
| IV. | 銀河系外の距離の測定 |
望遠鏡で銀河をみて距離をはかるのは不可能である。遠くにある巨大な銀河であるかもしれないし、銀河系の近くにある小さな銀河かもしれない。そこで、銀河系に属する天体の明るさあるいは大きさと、未知の銀河の同じタイプの天体とを比較することにより、距離を推定する。もっとも明るい星・超新星(→ 新星と超新星)・星団・ガス雲が指標につかわれる。
光度が周期的にかわるケフェウス型変光星(→ 変光星)は、脈動周期がその星固有の光度と関係しているのでとくに重要な指標である。周期を観測することにより真の光度が計算でき、それを見かけの光度と比較することで距離が推定できる。最近、銀河の中心の周りをまわる星の速度は、その銀河固有の明るさと質量に関係していることがわかった。急速に回転している銀河はひじょうに明るく、ゆっくりと回転している銀河は暗い。銀河の中の星の軌道速度が測定できれば、銀河の距離を推定できるわけである。
| V. | 銀河の分布 |
銀河は宇宙空間で孤立しているのではなく、小さな、あるいは中くらいの大きさのグループの一員であることが多い。そのグループはさらに大きな銀河団を構成している。銀河系は、約20個の銀河からなる局部銀河群の一員である。局部銀河群の中では銀河系とアンドロメダ銀河がもっとも大きく、それぞれに数千億個から1兆個もの星がふくまれている。大・小マゼラン雲は近くにある衛星銀河で、どちらも小さくて暗く、約1億個の星しかふくまれていない。
もっとも近くにある銀河団はおとめ座銀河団で、いろいろなタイプの何千という銀河がふくまれている。局部銀河群は銀河団の端にあるが、この銀河団にふくまれる銀河はすべて同一の方向に動いている。その原因は、天の川と重なっているために見ることのできない超銀河団であるかもしれない。3億光年にもひろがる超銀河団の存在が知られており、一部の宇宙論の研究者は、超銀河団のかわりに、時空の構造にみられる1次元のきず、宇宙「ひも」が原因であるという説を提唱している。
銀河団と超銀河団は宇宙の中に一様に分布しているわけではない。何万という銀河がふくまれる超銀河団は、長いひものような、レースのようなフィラメントの形をして、大きな超空洞(ボイド)の周りをとりかこんでいる。1989年に発見されたグレートウォールは、5億光年以上にものびている。宇宙論の研究者は、光を放射も反射もしない暗黒物質が重力場を形成するのに必要な質量をもっていて、グレートウォールのような宇宙の異質な構造を生みだしている、と考えている。
観測可能なもっとも遠くの銀河は、写真乾板に写った外見から「青いけば」とよばれる、暗く青い天体である。この像は、一見何もない領域に望遠鏡をむけ、電荷結合素子(CCD)を使ってひじょうにかすかな光をあつめ、コンピューターの助けをかりて画像処理することでえられたものである。「青いけば」は光速の88%の速さで地球から遠ざかっているので、宇宙が誕生してから約20億年後に形成された銀河かもしれない。
| VI. | 渦巻銀河の回転 |
銀河の中心の周りをまわっている星とガス雲は、公転周期が1億年以上である。銀河のスペクトル線を測定することで、これらの運動の研究がおこなわれている。渦巻銀河の中では星は円軌道を動き、中心からの距離が増大するにつれて速度もましている。渦巻円盤の端では、中心から15万光年の距離で秒速300kmの速度が測定された。
距離がますにつれて速度もますというのは、太陽からの距離がますにつれて速度が減少するという太陽系内の惑星の運動とことなっている。このちがいは、この銀河の質量が、太陽系の質量のように中心に集中していないことをしめしている。銀河の質量のかなりの部分が銀河中心から遠く離れたところにあるが、この質量はほとんど光を放っていないので、重力によってしか検出できない。こうして、宇宙の質量の多くが、星としてみえる以外にも存在する、ということがわかってきた。しかしその正確な性質は今のところはわかっていない。
| VII. | 銀河からの放射 |
銀河についての知識は光学的な観測がもとになっている。個々の星の組成と運動に関する知識も、可視光領域でのスペクトル研究によるものである。銀河の渦巻腕にふくまれる水素ガスは電波を放射しているので、銀河の構造に関する詳細の多くは電波領域での研究からえられたものである。たとえば銀河の核や渦巻腕にふくまれるあたたかいちりは赤外線を放射しているし、一部の銀河は可視光領域でもっとも強くエネルギーを放射している。
最近のX線観測で、銀河のハローには何百万°Cという熱いガスがふくまれていることが確認された。X線放射はまた、球状星団、超新星の残骸、銀河団にふくまれる熱いガスなど、さまざまな天体で観測されている。紫外線領域での観測もまた、ハロー内のガスの特性や、若い星の進化のようすなどを明らかにしてくれる。