宇宙探査
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宇宙探査
V. 宇宙船

人間をのせない宇宙船は、直径数センチメートルから数メートルまでのさまざまな大きさで、電波送信装置を搭載するなどの設計目的にあわせた形態にすることができる。しかし、有人宇宙船は、宇宙飛行士のための空気や食料と水、航行・誘導装置、座席や寝台の設備、地上との通信装置を搭載するように設計され、大気に再突入するときに宇宙船をまもるための熱シールドもほどこさなければならない(本項目の「打ち上げと再突入」を参照)。

1. 推進力

宇宙船をうちあげて推進させるロケットエンジンにはおもに2つのタイプがある。火薬と同じようにもえる化学物質をつかう固体推進ロケットと、別のタンクにいれた液体燃料と酸化剤とをつかう液体推進ロケットである。アメリカでは宇宙船をうちあげるロケットの大部分が数段式になっており、各段はそれぞれの燃料で別々に動力をえるようになっている。各段の燃料が消費されると、空になった段は宇宙船から切りはなされる。

打ち上げロケットの技術は、ICBMやSLBMといった長距離弾道ミサイルの技術と共通しているため、1957~65年まで、人工衛星をうちあげる能力をもっていたのはアメリカとソ連の2カ国だけであった。その後、フランス、日本、インド、中国、イギリスが地球の周りをまわる人工衛星をうちあげるようになった。83年5月には13カ国が参加するヨーロッパ宇宙機関(ESA)が、フランス領ギアナのクールーにあるスペースセンターをつかって、打ち上げ計画をスタートさせた。そして、アメリカとロシア、ヨーロッパ宇宙機関、中国は有人宇宙船の必要条件である10t近くのペイロード(積載物)を軌道までもっていく能力をもつ打ち上げロケットを所有している。

2. 打ち上げと再突入

宇宙船は特別に建設された基地からうちあげられる。宇宙船と推進ロケットがすえつけられ、打ち上げ前にじゅうぶんに点検をうける。点検作業はコントロール・センターのエンジニアと専門家によって指揮される。すべての準備がととのうとロケットエンジンに点火され、ロケットと宇宙船は離陸する。

再突入は、もどってきた宇宙船が地球の大気圏に入るとき、動圧過加重や空力的な加熱によって破壊されることなく着陸できるように減速するのが問題である。アメリカのマーキュリー、ジェミニ、アポロ計画の宇宙飛行では、宇宙船の先端表面を特別に開発した耐熱シールドでおおうことで克服した。熱シールドとは、金属、プラスチック、ファインセラミックスでできたタイルのカバーを船体に接着してあり、再突入の際にとけて蒸発する。宇宙船や宇宙飛行士に損傷をあたえることなく熱を放散させるのである。滑走路に着陸するスペースシャトルが開発される以前は、アメリカの有人宇宙船はすべて着陸の衝撃をやわらげるために海に着水した。宇宙飛行士と宇宙船はすぐにヘリコプターによって回収され、待機している軍艦にはこばれた。ソ連の時代からロシアの宇宙船はシベリアのさまざまな地点に着地していた。

3. 地球の周りの軌道

地球をまわる宇宙船の軌道は、円形か楕円形である。円形軌道にある人工衛星は一定の速度でうごいているが、高度が高いほど地表との相対的な速度がおそくなる。赤道上3万5800kmの高度では、人工衛星は地球に対して静止状態となる。人工衛星は地球とまったく同じ速度で静止軌道を移動するので、常に赤道のある地点の上空にある(静止衛星)。通信衛星や静止気象衛星(GMS)はこのような軌道にうちあげられている。

楕円軌道では速度が変化し、地球の近地点で最高速度となり、遠地点で最低となる。楕円軌道は地球の中心をとおる平面上ならどこでもよい。極軌道は、北極と南極をとおる平面、つまり地球の自転軸がとおる平面上にあり、赤道軌道は赤道をとおる平面上にある。軌道平面と赤道平面とがなす角度は、軌道傾角とよばれる。軌道

地球は極軌道にある人工衛星の下で24時間に1回自転する。極軌道にあるテレビカメラと赤外線カメラを搭載した気象衛星は、1日で北極から南極まで全地球の気象状況を観測することができる。

人工衛星の軌道が真空の宇宙空間にあるかぎりは、摩擦によって速度がおちることがないので、推進力なしに軌道をうごきつづける。しかし、軌道の一部または全部が地球の大気中をとおる場合には、空気との摩擦によって減速される。このためしだいに軌道高度はさがっていき、ついには大気中に完全に再突入し、流星のようにもえつきてしまう。