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| I. | プロローグ |
物体をとりまく空間で、重力や電磁力が他の物体におよんでいる領域のことである。場の概念は最初、イギリスの物理学者ニュートンが重力を説明するために、また、その後ファラデーが電磁力を説明するためにもちいた。
重力や電磁力ははなれた場所で作用するかのようにみえ、質量をもつ物体どうしや電子・陽子のような荷電粒子は他の荷電粒子に直接接触していないのに力をおよぼす。したがって荷電粒子や質量体は、電磁場や重力場の源である。2つの荷電粒子や質量体の間にはたらく力は、実際には一方がつくる場と他方の電荷や質量との間にはたらく局所的な相互作用である。
| II. | 場がおよぼす力 |
場がおよぼす力の強さと方向は力線によってあらわされる。力線は、力が強くはたらく場の源の近くでは密に、力が弱い遠方ではまばらにえがかれる。点電荷(他の物体からの距離に比較してひじょうに小さい電荷)の電磁場の強さは電荷の値に比例し、電荷からの距離の2乗に反比例する。
同じように、重力場は物体の質量の大きさに比例し、物体からの距離の2乗に反比例する。2つの電荷の間にはたらく力を記述するクーロンの法則や、2つの質量の間の万有引力をあらわすニュートンの法則は、実際には電磁場と電荷の間の直接の相互作用、重力場と質量の間の直接の相互作用をあらわしたものである。
19世紀のイギリスの物理学者マクスウェルは、電磁理論の中で場の概念をさらに発展させた。マクスウェルの方程式は、任意の電荷の集団によってつくられる電磁場を記述する。アインシュタインは、任意の質量分布からえられる重力場に対して同様な方程式を開発した。
いずれの方程式も光の速度をもつ波動状の解をもつ。可視光やラジオ波のような電磁波はマクスウェルの方程式の解である(→ 電磁放射)。場の概念をもちいることで、電磁波の波動の性質やふるまいがわかった。重力波は直接の証拠がえられていないが、存在することは2連パルサーに関する天体現象によって間接的に確認されている。
| III. | 素粒子のふるまい |
電磁場や重力場という考え方がもたらしたもうひとつの重要なことは、量子論で波動と粒子の二重性の概念をもちいて、原子より小さな世界における波動や粒子のふるまいを記述できたことである。
ある波長の波は、ある運動量の粒子に対応し、波長と運動量の積は一定のプランク定数となる。電磁場や重力場に付随する波動は、粒子状の励起、つまり量子とよばれるとびとびのエネルギーをもっている。電磁エネルギーの量子はフォトン(光子)とよばれ、重力エネルギーの量子はグラビトン(重力子)とよばれる。電磁波も重力波も高速でつたわるので、付随する粒子つまり量子は質量をもたない。
波動と粒子の二重性から、電子や陽子のような素粒子も、対応する波長や量子場をもつことが予測できる。電磁場と電子の電荷との相互作用は、実はこの場と電子の量子場との相互作用の結果なのである。電子や陽子の量子場理論は量子電気力学といい、原子のエネルギー水準はとびとびに変化するものでなければならないと仮定して実験的に確かめる研究がおこなわれてきた。クォークがグルーオンによって結合されて陽子や中性子を形成する力といった、自然界の基本過程を記述するために、同様な量子場理論が展開されてきた。