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| V. | 倫理学 |
アリストテレスによれば、善とは幸福のことであり、幸福とは自分の可能性を実現することである。人間の可能性とは、快楽をえることだけではなく、理性を発展させることであり、これが人間の魂に固有な形相である。つまり、理性という可能性を花ひらかせることが人間の幸福なのである。ところで理性的に生きるということは、欲望や感情に過度に反応せず、中庸をまもることである。たとえば臆病(おくびょう)と蛮勇の中庸が勇気であり、けちと浪費の中庸が気前のよさである。
人間の社会にはさまざまな政治形態が存在するが、そのうちのどれが最適な政体かは、その社会の自然環境、文化的伝統、産業などの条件によってことなってくる。アリストテレスの政治学は、理想国家を論じる抽象的な理論というよりも、具体的な国家形態を収集して研究するもので、この点でもプラトンとことなる。リュケイオンの図書館には158の国家の国法が収録されていたという。アリストテレス自身は、ギリシャの奴隷制をみとめたが、支配者も奴隷も同じ利害をもつのだから、支配者はその権力を濫用してはならないと考えた。
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