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スミソニアン協会
I. プロローグ

アメリカ合衆国ワシントンにある世界最大の総合博物館。学術研究機関でもある。イギリスの科学者スミッソンの遺産を基金に、「人間の知識の増進と普及のための機関」として、1846年に創設された。この目的を達成するために、博物館では幅広いコレクションを収蔵し、科学的研究および調査を支援し、書籍や雑誌を発行している。

協会の運営は理事会がおこない、理事会は、合衆国副大統領、最高裁判所長官、上院議員と下院議員それぞれ3名、議会と理事会が選出した9名の民間人で構成されている。

スミソニアン総合博物館は、ワシントンにある14の博物館と美術館と動物園、ニューヨークにあるクーパー・ヒューイット美術館とアメリカ・インディアン博物館で構成されている。以下に、おもなものをいくつか紹介する。

II. クーパー・ヒューイット美術館

デザイン関連の美術館としてはアメリカ最大規模で、絵画や建築工芸品のほか陶磁器、家具、テキスタイルなど、古いものから現代のものまで25万点以上の装飾作品を収蔵する。付属図書館の蔵書数は6万冊以上、デッサンも3万点ほどある。なかでも、アメリカの画家ウィンスロー・ホーマー(1836~1910)の作品が多い。建物は鉄鋼王といわれたカーネギー邸を修復したものである。

III. フリーア美術館

東洋美術を収蔵する世界有数の美術館。実業家フリーアが協会に寄贈したコレクションをもとに、1923年に開館した。古代中国の青銅器や玉器、日本および中国の仏像、絵画、工芸を中心に、朝鮮、インド、中近東におよぶ美術品を幅広く収集。俵屋宗達の「松島図屏風(びょうぶ)」などの名品をふくむ。また画家ホイッスラーがデザインした「孔雀(くじゃやく)の間」が館内に移築されており、彼と同時代のアメリカの画家の作品も多く収蔵されている。

IV. ハーシュホーン博物館と彫刻の庭

19世紀と20世紀にヨーロッパおよびアメリカで活躍した芸術家の著名な作品を収蔵。彫刻の庭には、マティス、ヘンリー・ムーア、ロダンをはじめとする近代の巨匠の彫刻がならんでいる。おもなコレクションは、アメリカの資本家ハーシュホーンからの寄贈。

V. 航空宇宙博物館

航空宇宙技術の進歩の歴史を知ることができる。アルバート・アインシュタイン・プラネタリウムやテーマ別のさまざまな展示室があり、「飛行のしくみ」という展示ホールでは、飛行の原理を説明している。ライト兄弟がはじめて動力飛行に成功したフライヤー1号、リンドバーグが最初の大西洋無着陸横断飛行をしたスピリット・オブ・セントルイス号、はじめて月面着陸をしたアポロ11号の司令船コロンビア号など、館内には歴史にのこる多くの航空機や宇宙船がならんでいる。

2003年12月には、ワシントン郊外のダレス国際空港に新館オドバル・ハジー・センターがオープンした。ここには本館にない各種宇宙船や航空機が展示されている。広島に原爆を投下したB-29爆撃機エノラ・ゲイも完全復元されて公開されたが、案内板に原爆被害の記述がないことから、開館にあたって被爆者団体や反核団体の抗議をうけた。

VI. アフリカ芸術博物館

アフリカ美術館とも訳される。アフリカ芸術を研究し、伝統的な面、彫刻、織物、衣服、装身具、家具といったものから現代の芸術作品まで収集品は多岐にわたる。アフリカの芸術や文化に関する30万点をこえる写真資料や記録映画なども収蔵。研究図書館を併設、教育講座を公開している。

VII. アメリカ芸術館

18世紀から現在にいたる、アメリカの絵画、彫刻、版画、民芸品、写真を収蔵。アフリカ系アメリカ人の作品もふくまれ、アメリカ美術のコレクションとしては世界最大規模である。

VIII. アメリカ歴史博物館

機関車や自動車から、初期のテディ・ベア、古い人形といったものまで、科学、技術、文化に関する展示をとおして、アメリカの歴史をたどることができる。ルイス=クラーク探検隊が探検につかった道具類や、アメリカの詩人フランシス・スコット・キーが国歌「星条旗よ永遠なれ」を作詞するきっかけとなった最初の星条旗、大統領夫人たちが身につけたガウンなども展示されている。

IX. 自然史博物館

人類の起源や人類文化の発展をテーマとするものや、地質時代の恐竜、鳥類、昆虫、海洋生物などが展示されている。自然と環境に関する世界最大級の研究機関である。参考文献をそろえ、展示品には、これまでに発見された最大の恐竜の骨格や、ホープ・ダイヤモンドなど世界的に有名な宝石も多数ふくまれている。

X. 肖像画美術館

アメリカの発展に貢献した人々の肖像画がかざられており、ワシントン最古の政府ビルで、かつては特許局だった建物に入っている。研究図書館をアメリカ芸術館と共有する。

XI. 動物園

およそ480種、5500頭以上の動物をあつめ、動物の生態を研究し、国内外を問わず絶滅の危機に瀕(ひん)した種の保存につとめている。見学者はさまざまな動物たちの姿だけでなく、ゾウやアシカの訓練などもみることができる。

XII. 天体物理学研究所

天文学の主要な分野で研究をすすめている。天文研究につかう機器類の開発もおこなう。本部は、マサチューセッツ州ケンブリッジにある。