種子
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種子
I. プロローグ

種子植物の発芽前の成熟した胚珠をさす。種(たね)ともいう。将来1つの完全な植物体に生長するのに必要な遺伝情報一そろい(ゲノム)と、外部から栄養をとれるようになるまでの養分がたくわえられている。とくに被子植物の種子は、のちに果実をかたちづくる子房につつまれているが、裸子植物すなわち球果植物とその近縁植物は、球果の鱗片上に裸の種子がある。

花粉管が、受精の過程で、珠孔とよばれる小さい孔をとおって胚珠にはいる。2個ある精核のうち1個が胚珠の中の卵細胞と融合して接合子をつくり、これが発達して胚となる。被子植物では、残りの精核が胚嚢中に存在する2個の極核と融合して胚乳核となり、その後、胚をとりかこむ栄養のある胚乳組織をつくる。裸子植物では、胚乳は胚嚢自体の組織からつくられる。大胞子嚢(胞子嚢)に相当する珠心は胚珠の主要部分をなし、胚と胚乳の組織が発達する間に一部は消化される。

種子をつつんでいる固く丈夫な皮は、胚珠の珠皮から生じ種皮とよばれる。被子植物では、種皮の内側に内種皮とよばれるうすい膜状の第2の皮がある。さらに種子によっては、発芽しようとするときに種皮が水の吸収をたすけたり、まれには種子の周りにさらに保護層をつくるものもある。ほとんどの種子には、花粉管が胚珠へはいるのにとおった小さな珠孔が種皮にあいている。被子植物では珠孔の近くに珠柄という柄があって、それによって種子は果実壁の内側の胎座に付着している。種子がはなれると、柄がついていたところに、へそとよばれる小さな傷跡がのこる。

ランなど一部の植物では胚が小さく、種子が親植物からはなれるまでは未分化の細胞の塊である。親植物からはなれ最終的に発芽するまでの間に、この未分化の細胞が初期の根、芽、茎、葉に発達する。ほかの植物では、この発達過程はおおむね種子の分散に先だっておこる。胚性の根すなわち幼根は、ふつう珠孔のあるほうへのび、幼芽あるいは上胚軸とよばれる胚性の芽は、胚の中で幼根と反対の端にできる。胚性の茎すなわち胚軸によって幼根と子葉がつながれる。裸子植物ではふつう複数の子葉がある。

被子植物は2つに大別され、子葉が1枚しかない単子葉植物と子葉が2枚ある双子葉植物にわけられる。子葉は、胚乳から栄養物質を吸収し貯蔵する役割をはたす。ヒマワリなど多くの植物の子葉は、発芽したのち幼芽から普通葉が発達するまで、主要な光合成器官としてはたらく。