肝炎
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肝炎
II. 急性ウイルス性肝炎

A、B、C型いずれも症状は似ている。はじめに、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、関節痛、筋肉痛、食欲不振、吐き気などの症状が出る。肝臓がはれて大きくなり、みぞおちのあたりが痛むこともある。数日後、黄疸が出る。風邪とまちがえやすいが、血液の肝機能検査をすると値が高くなっている。

急性ウイルス性肝炎の治療薬は対症療法で、完全になおす薬はない。ふつうは安静にして食事療法をおこなえば、だんだん回復する。

1. A型肝炎

おもに、A型肝炎ウイルスで汚染された井戸水や魚介類などを、生で飲んだり食べたりすることによって伝染する。衛生状態のわるい国へ旅行するときは、ヒト免疫グロブリン(抗体)を注射すると3カ月くらいは効果がある。ワクチンもできている。冬から春先にかけて発生しやすい。集団発生することもあり、かつては流行性肝炎として知られていた。潜伏期間は約1カ月で、症状は強く出るが、適切な治療をうければ予後はよく、慢性になることはない。しかし高齢者では急激に症状がわるくなり、劇症肝炎をおこすこともあるので、注意が必要である。

2. B型肝炎

アジア、アフリカで多い病気で、血液や唾液、精液をとおして感染する。成人では一般に性行為によって感染する。症状はほとんど出ないこともある。その場合はそのままなおってしまうか、ほぼ永久的にウイルスをもつキャリアとなって慢性にすすむ場合もある。B型肝炎ウイルスにはHBs、HBc、HBeの3つの抗原があり、血液中にあらわれた抗原をしらべれば感染しているかどうかがわかる。

症状の出方はA型より弱いが、まれに劇症肝炎になることもある。ふつうは3カ月くらいでなおる。

以前は輸血によって感染することが多かったが、現在、輸血用の血液はすべて、HBs抗原に対するチェックがおこなわれており、輸血後の肝炎は激減した。医療事故で感染のおそれのある場合は、すぐに抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を投与すれば予防できる。ただし、2003年(平成15)7月にはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス、HIVなどに感染した輸血用血液がチェックをすりぬけ、つかわれてしまっていたことがわかった。この輸血で肝炎に感染したとうたがわれるケースも報告されており、輸血用血液を供給する日本赤十字社や厚生労働省は対応と改善をもとめられた。

母子間感染については、出産時に感染することが多かった。そのため妊娠している女性のHBs抗原を検査し、陽性の場合は生まれた子供へはやいうちにHBIGやワクチンを投与して、子供の感染をふせいでいる。

また、B型ではこれまで、免疫が正常な成人は感染しても慢性化しないとされてきた。しかし、成人でも慢性化しやすい、欧米などに特有のB型肝炎ウイルス(Aタイプという)が性感染で広がっていることが、2002年の各種の調査で明らかになった。

3. C型肝炎

非A非B型肝炎とよばれていたが、現在では、その大部分がC型ウイルスによっておこるC型肝炎であることがわかっている。血液をとおして感染し、輸血後におこる。また、過去には、汚染された非加熱血液製剤やフィブリノーゲン製剤の投与、注射針の使い回しなどによっても感染が広がった。厚生労働省の調査によると、推計で国内に150万人の感染者がいるとみられている。また、2002年度からはじまった地方自治体のC型肝炎ウイルス検査では、1年間で約3万人の感染者がみつかった。

潜伏期間は2~6週間だが、急性肝炎では発症直後のHCV(C型肝炎ウイルス)抗体は陰性で、診断はむずかしい。発病後3~6カ月でHCV抗体が陽性になれば、このウイルスによる急性肝炎であることがわかる。症状は軽いが、慢性肝炎になることが多く、さらに肝硬変、肝臓癌へとすすむ確率が高い。

C型肝炎が正確にチェックできるようになったのは1992年以降のことなので、それ以前に輸血をうけた人は感染している可能性がある。治療にはインターフェロンが有効で、平均して約3割の人でウイルスが消失する。また、リバビリンという抗ウイルス薬を併用すると、消失率は3割よりもややよくなる。なお、治療のむずかしいC型肝炎には、コンセンサス・インターフェロンという新しい治療薬が効果をあげている。

4. D型肝炎

デルタ型肝炎ウイルスによっておこるもので、血液をとおして感染する。このウイルスは自分自身ではふえることができず、B型ウイルスにたよって感染する。そのためB型と同時に感染するか、B型のキャリアだけが感染する。B型とD型に同時感染すると、重症になりやすい。

5. E型肝炎

E型肝炎ウイルスに汚染された水や食べ物から感染し、おこる肝炎。症状はA型肝炎に似ており、慢性にならないが、劇症肝炎になることがあり、A型より死亡率が高い。とくに妊婦に感染した場合、死亡率は10~20%にも達するという。

もともと、アフリカや東南アジアなど衛生状態のわるい発展途上国に多い病気で、日本では患者はほとんどいないとされてきた。ところが、海外への渡航歴のない人がE型肝炎で死亡していたことが、2002年に明らかになった。また、約5%の国民がE型肝炎ウイルスの感染歴があることをしめす国立感染症研究所の02年の調査結果もある。

2003年1月には輸血でE型肝炎に感染、発病していた患者も確認され、経口感染以外があることがわかった。さらに、8月にはイノシシやシカの生肉を食べて感染し、死亡していたケースもみつかっている。ほかにも、市販の豚肝臓(レバー)からE型肝炎ウイルスの遺伝子の一部分が検出されており、「生食しないように」という注意を厚生労働省が出した。E型肝炎ウイルスは熱に弱いため、じゅうぶんに加熱すれば感染の危険はほとんどなくなる。これからはE型肝炎へのさらなる対策が必要である。

G型肝炎