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| I. | プロローグ |
維管束植物の茎や枝の側方に生じる扁平(へんぺい)な構造をした器官。おもに光合成をおこなうため、植物体にとっては重要な栄養器官である。特別な目的のために変形していなければ、ふつう葉は葉身(ようしん)と葉柄(ようへい)からなり、托葉をもつものもある。また、葉柄のかわりに葉鞘(ようしょう)をもつものもある。
茎や根と同じく、葉の内部構造にも維管束植物に共通の基本的な型がある。→植物の「表皮系」
| II. | 葉身 |
光合成をおこなう主要部分で、葉片ともよばれる。ふつう日光をうけやすくするために、ひらたい形をしていて、裏表の区別がある。また、葉脈の走り方で平行脈や網状脈(もうじょうみゃく)などと区別することもある。ほとんどの葉身は緑色をしているが、これは葉緑素のためである。
葉緑素は、水と二酸化炭素からグルコース(ブドウ糖)などの炭水化物を光合成する働きをする。葉緑素があっても、ほかの色素のために緑色でない葉もある。葉緑素が部分的、あるいは完全に欠乏している葉身もある。秋になると葉が紅葉するのは、葉緑素が分解して、ほかの色素がめだつようになるからである。
| III. | 葉柄 |
葉身をささえるために茎をつなぐ部分で、生長の過程でねじれて、葉身を日光のあたる方向にむける役目ももつ。多くの植物が葉柄をもっているが、葉柄がなく、茎に直接葉身がついている植物もある。
| IV. | 托葉 |
ふつう葉の基部に1対あり、若い芽を保護する役割があると考えられている。被子植物とくに双子葉植物に多くみられる。葉が生長すると、とれてしまい、のこるものは少ない。
| V. | 葉鞘 |
葉柄のかわりに、葉の基部で幅広い平らな鞘(さや)が茎をつつんでいるもの。イネ科などの単子葉植物に多いが、双子葉植物のタデ科やセリ科でもみられる。
| VI. | 単葉と複葉 |
葉は葉身の形から単葉と複葉にわけることができる。単葉とはカシの葉などのように1枚の葉でできているものである。一方、複葉とはクローバーの葉などのように葉身が何枚かの小葉にわかれたものである。また、複葉で、葉柄から葉身の中央部をとおって葉の先端部まで達している部分を葉軸(ようじく)という。複葉はさらに羽状複葉、掌状複葉(しょうじょうふくよう)、3出複葉(さんしゅつふくよう)などにわけられる。
| 1. | 羽状複葉 |
ハリエンジュの葉のように、中央脈から左右に小葉が出ている複葉をいう。葉軸の先端に小葉のある奇数羽状複葉と、先端に小葉がつかない偶数羽状複葉がある。タラノキ、ネムノキなどのように羽状複葉の中軸が分枝して第2の軸をつくり、小葉をつけたものを2回羽状複葉という。
| 2. | 掌状複葉 |
マロニエの葉のように、ある1点から扇を広げたように小葉が出ている複葉をいう。小葉の数によって、3出掌状複葉、5出掌状複葉、多出掌状複葉などにわけられる。形状により鳥足状複葉とよぶものもある。
| 3. | 3出複葉 |
ヘビイチゴやクズのように、小葉が3個ついているものをいう。セントウソウなどのように、3出複葉の葉軸が分枝して、さらに両側に3出複葉がついた葉を2回3出複葉という。
| VII. | 葉の形 |
葉は葉身の形からさまざまな名でよばれている。おもなものには、針形(しんけい)、線形、皮針形、倒皮針形、楕円形(だえんけい)、卵形、倒卵形、へら形、心臓形(ハート形)、倒心臓形、腎臓形(じんぞうけい)、矢じり形、矛形(ほこがた)、楯形(たてがた)がある。
| VIII. | 葉縁の形 |
葉の周縁部を葉縁(ようえん)という。おもなものには全縁(ぜんえん)、鋸歯(きょし)、波状(波形)、掌状裂、羽状裂がある。
全縁とは縁がなめらかなもの、鋸歯とは縁にぎざぎざがあるもの、波状とは縁が波うっているもののことである。掌状裂は縁が手のひら状にさけるもので、羽状裂は鳥の羽のようにさけるものをいう。また、羽状裂は葉の裂け方(切れ込み)の程度により、浅裂、中裂、深裂などとわけられる。
| IX. | 葉脈 |
単葉や小葉の中で物資の移動をおこなっている器官を葉脈という。網状脈、羽状脈、掌状脈、平行脈、叉状脈(さじょうみゃく)にわけられる。
| 1. | 網状脈 |
双子葉植物に多く、葉の基部から葉の先へと1本の太い葉脈(中央脈)がとおり、そこから細い葉脈が網目状に枝分かれしているもの。
| 2. | 羽状脈 |
網状脈の一種で、おもな葉脈が鳥の羽状に広がっているもの。ニレ、サクラ、ケヤキなどにみられる。
| 3. | 掌状脈 |
網状脈の一種で、葉の基部から数本の太い葉脈が手のひら状にのび、小脈に枝分かれしているもの。カエデやヤツデなどにみられる。
| 4. | 平行脈 |
単子葉植物に多く、おもな葉脈が葉の基部から葉の先へ平行にのびている。
| 5. | 叉状脈 |
シダ植物やイチョウなどの高等でない植物にみられる。同じくらいの細さの数本の葉脈が葉の基部の1カ所ないし数カ所から出て、次々に2本に枝分かれしながら葉の先へのびている。
| X. | 葉の付き方 |
花序に対して葉序(ようじょ)ともいう。さまざまな種類があり、対生(たいせい)、互生(ごせい)、輪生、根生(こんせい)、束生(そくせい)にわけられる。
| 1. | 対生 |
茎の同じ高さのところで2枚の葉がむかいあってつくもの。アブラナ科のように、上下2つの節から出る2対の葉が直交していれば、十字対生という。
| 2. | 互生 |
互い違いに茎に葉がついているもの。
| 3. | 輪生 |
茎の同じ高さのところに3枚以上の葉がついているもの。
| 4. | 束生 |
叢生(そうせい)ともいい、イチョウやカラマツのように、1カ所から数枚以上の葉が出ているようにみえるもの。
| 5. | 根生 |
オオバコ、ダイコンのように、根際から葉が出ること。根生した葉は根出葉(こんしゅつよう)、または根生葉という。葉が地面にひらたく放射状に広がった状態をロゼットという。タンポポ、ヒメジョオン、ナズナ、ノゲシなどは代表的なロゼット植物である。
| XI. | 変形した葉 |
葉とはみえないような器官が、発生学的には葉であることもある。芽鱗(がりん)は、芽やつぼみを保護するように葉が変形したもので、蔓植物の一種サルトリイバラの巻きひげは、葉身は未発達でも、ほんとうは葉である。
ハリエンジュやサボテンの棘(とげ)も、葉が変形したものである。ハナミズキやポインセチアの苞葉(苞)は、色が鮮やかで花弁のようだが、花や花序の基部をつつんで光合成をおこなっている葉である。萼、花弁、雄蕊、雌蕊なども、葉が変形して生殖器官になったとみられている。
| XII. | 環境への適応 |
葉の形や構造は、植物の生育環境に適応している。温帯で適度な湿度がある地域の葉は、高温多湿の熱帯地域や寒く乾燥した地域のものとはまったくことなっている。
ほとんどの植物は太陽の光を最大限吸収できるように、平らな葉をしている。だが、風の強い寒冷地に適応している針葉樹は、乾燥した冬の風にさらされにくいよう、葉が針形で、1本ないし2本の葉脈が葉の深部にある。外側はかたい層でおおわれ、さらにその外側をクチン化(→ クチクラ)した厚い層が保護している。
乾燥地域に生育するアロエのような多肉植物は、葉が海綿状になっていて、水分を多量にたくわえられるようになっている。熱帯雨林の植物の葉は、余分な水分を葉の先から出せるようになっている。