核エネルギー
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核エネルギー
III. 核分裂による核エネルギー

(2)の反応式から、核分裂によるエネルギーの放出について2つの特徴がわかる。1つは、原子核1個の分裂によってえられるエネルギーがきわめて大きいということである。たとえば、1kgのウラン235を24時間で分裂させると、100万kWの発電所に相当するエネルギーがとりだせる。2つ目は、1個の中性子の吸収ではじまった分裂過程で、分裂したウラン235の原子核から平均して2.5個の中性子が放出されるということである。

こうして放出された中性子は、さらにすぐ2個の原子核の分裂をひきおこす。そこからはさらに4個以上の中性子が放出される。このようにして自己増殖する反応、つまり連鎖反応がおこり、エネルギーが持続して放出されるのである。

天然のウランは、ウラン235を0.71%しかふくまず、残りは核分裂をおこさないウラン238である。天然ウランの状態のままでは、いかに量を多くしても、連鎖反応を維持できない。核分裂でとびだす中性子は約1MeVの初期エネルギーをもっているが、このエネルギーの中性子が次の核分裂をひきおこす確率は小さい。しかし、中性子が水素、重水素、炭素などの軽い原子と弾性衝突をくりかえして減速されると、核分裂をひきおこす確率は数百倍も増加する。このことが、エネルギーの生産を目的とする核分裂炉の設計にあたっての基礎となる。

1942年、アメリカのシカゴ大学で、イタリアの物理学者エンリコ・フェルミが最初の原子核分裂の連鎖反応に成功した。このとき、フェルミ原子炉では天然ウランの塊を純粋な黒鉛の層に一定の分布で配置し、黒鉛が中性子を減速するようにした。