| 核エネルギー | 項目ビュー | ||||
| 印刷するには、[ファイル] メニューの [印刷] をクリックします。 | |||||
| IV. | 核燃料と廃棄物 |
原子炉につかわれる燃料は危険物であり、その取り扱いには注意をはらわなければならない。原子炉の使用済み燃料の処理は、さらに深刻な問題であり、原子力技術はこの点においては未完成である。
| 1. | 核燃料サイクル |
原子力発電所はエネルギーサイクル全体の一部にすぎない。軽水炉でもちいられているウラン燃料サイクルが、現在世界的にもっとも広く普及している。このサイクルには多くの段階がふくまれている。ウラン235を約0.71%ふくんでいる天然ウランは、地表あるいは地下にあるウラン鉱から採掘され、濃縮ウランにされる。
濃縮ウランは燃料加工工場におくられ、核分裂性の酸化ウラン粉末にされ、セラミックのペレットにかためられ、耐腐食性の燃料棒につめられる。燃料棒は燃料単位にくみたてられて原子力発電所におくられる。
典型的な100万kWの加圧水型原子炉には約200個の燃料単位があり、ウラン235の劣化や中性子を吸収する核分裂生成物の蓄積のために、その3分の1は毎年交換される。使用された後の燃料は、それにふくまれている分裂生成物のためにおびただしい放射能をおび、相当量のエネルギーを発生している。炉心からとりだされた燃料は、水のはいった貯蔵用プールで1年以上保管されて冷却される。
冷却期間がおわると、使用済み燃料単位は厳重に遮蔽(しゃへい)されたキャスクとよぶ容器にいれられ、永久貯蔵施設か再処理工場に輸送される。再処理工場では、のこっているウランや原子炉で生成されたプルトニウム239が回収され、放射性廃棄物が濃縮される。
| 1.A. | 再処理 |
使用済み燃料の中には、ほとんど最初のままのウラン238と、約3分の1に少なくなったウラン235と、原子炉で生産された若干のプルトニウム239がふくまれている。直接に永久貯蔵施設におくられるときには、これらのエネルギー資源は利用されない。使用済み燃料が再処理されるときには、ウランは工場でリサイクルされ、核分裂性のプルトニウムは分離されて、新しい燃料のウラン235の一部におきかえられたりして使用される。
しかし、プルトニウム239は兵器生産に不法に利用される可能性があるので、アメリカでは使用済み燃料の再処理はおこなっていない。日本は、フランスの工場に再処理を依頼している。
増殖炉の核燃料サイクルにおいては、プルトニウムはいつも新しい燃料としてつかわれる。新しい燃料単位をつくるときには、リサイクルされたウラン238、同位元素分離工場で貯蔵されている劣化ウラン、回収されたプルトニウム239の一部が原料となる。現在累積している使用済み燃料だけでも、多くの増殖炉を何世紀にもわたって運転することができるので、ウランを新しく採掘する必要はない。
増殖炉は、自分自身に燃料を補給するのに必要な量以上のプルトニウムを生産するので、回収されたプルトニウムの20%は、将来に新しい増殖炉の運転を開始するときのために保存される。天然ウランにふくまれているウラン235をつかうのではなく、新しい燃料はウラン238から増殖されるので、ウランのもっている潜在的エネルギーの75%が増殖炉燃料サイクルで利用可能になる。
すべての燃料サイクルの最終段階は、何千年もの間、生物に危険をあたえる可能性を有する高放射性廃棄物の長期保存である。廃棄物の安全な貯蔵技術として、いくつかのものは満足いくように思われる。しかし、それを明らかにするような大規模施設は1件も建設されていない。使用済み燃料単位は、遮蔽され警備の厳重な貯蔵所で将来の処分のために貯蔵されたり、安定した化合物に変換されたり、セラミックやガラスの中に固化されたり、ステンレス鋼のキャニスターとよばれる容器に密封されたり、地下深く安全な地質構造にうめこまれたりする。