| II.
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感染のプロセス |
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病原体 |
病原体とは、感染症の原因となる微生物の総称で、電子顕微鏡レベルの大きさのプリオンやウイルス、光学顕微鏡レベルの大きさの細菌やカビ、肉眼でも観察できる寄生虫まであり、ヒトからヒトへいろいろな経路をへて感染していく。
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感染症の伝播の仕方 |
16世紀初頭にヨーロッパで大流行した発疹チフスやペストを見聞きした経験から、タマネギの皮をむくと発散する物質によって涙が出るように、ペストなどの病気は病人が近くにいなくても、病人の発散する物質によって伝播(でんぱ)すると考えられた。今日の知識から判断すると空気伝染に相当するのである。カによる日本脳炎(→ 脳炎)、シラミによる発疹チフス、ノミによるペストのように昆虫によって伝播することは、19世紀後半から20世紀初頭になるまでわからなかった。ネズミのノミがペスト菌を伝播することは、北里柴三郎によって1897年に発見され、ネズミをとるネコをかうことが奨励された。
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生体内への侵入 |
微生物が侵入する門戸は、すべて体外に面した上皮細胞集団で、皮膚上皮、呼吸器粘膜、消化器粘膜および眼と泌尿生殖器粘膜などである。これら体表面の細胞に直接感染するのが一般であるが、ときには表面の創傷または昆虫などの刺傷、輸血などにより直接血流中に侵入することもある。
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生体外への排出 |
全身または局所の皮膚に病巣をつくる感染症は多いが、化膿菌やヘルペスウイルス以外で皮膚病巣から微生物が排出されることはまれである。呼吸器感染症では、繊毛上皮粘膜が微生物を咽頭(いんとう)まで移動させると、大部分は消化管内へのみこまれ、残りの少数が唾液にのこる。のみこまれた微生物のうち胃酸や胆汁酸に抵抗性をもつもののみが糞便(ふんべん)中に排出される。飲食物とともに口から侵入した微生物のうち、大部分は消化管内を通過して糞便とともに排出される。しかし、病原性の強い一部の微生物は、消化管内に定着して増殖する。赤痢菌やポリオウイルスなどは、消化管内で増殖した後、糞便とともに排出される。
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病原性 |
微生物の感染をうけた場合、発症するかしないかは、ヒトの微生物に対する感受性と微生物の病気をおこす力とのバランスによってきまる。微生物の生体に障害をおこす力を病原性という。病原性の強弱は、いくつかの因子によってきまる。
| 5.A.
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病原性をきめる因子 |
微生物が生体内で増殖するには、まず白血球などの食細胞の食菌作用からのがれる武器をもつことが必要である。たとえば、連鎖球菌は強力な白血球殺酵素(核酸分解酵素)や組織内を広がっていきやすくする拡散因子(ヒアルロニダーゼ)など、ブドウ球菌は血液中にフィブリンの防護網をつくるコアグラーゼを、また肺炎連鎖球菌は菌体の周りに莢膜(きょうまく)という食菌作用をふせぐ障壁をもつ。
毒素を産生して生体に障害をおこす場合もある。ガス壊疽菌(→ 壊疽)やヒト食いバクテリアなどは、強力なタンパク分解酵素を産生して組織を破壊する。また、破傷風菌などは強力な毒素を菌体外に放出して運動神経を麻痺させる。ジフテリア菌の毒素は、1/3500mgでモルモットの半分が死ぬ。また腸炎ビブリオの溶血性毒素は5/10000mgで、200gのラットの心臓の運動を瞬間に停止させる。
| 5.B.
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感受性に影響する因子 |
年齢、健康や栄養状態、妊娠などをはじめ本体の不明な因子が多く関与する。また臓器移植による免疫抑制薬の投与や妊娠による免疫機能の低下した状態、さらには糖尿病などでは、微生物に対する感受性が高くなる。
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潜伏期 |
病原微生物が生体に侵入してから症状があらわれるまでを潜伏期という。潜伏期の長短は、微生物によってほぼきまっている。潜伏期の短い例は、細菌性食中毒で、なかでも毒素型中毒がとくに短い。黄色ブドウ球菌が繁殖した食品を食べてから1時間位で腹痛や下痢がおこる。腸炎ビブリオの食中毒では、生魚などを食べてから症状があらわれるまでの時間は、はやい人で2~3時間、もっとも多いのは3~6時間、ついで6~12時間である。赤痢の潜伏期は短くて1~3日、腸チフスでは5~10日間である。潜伏期が10日前後までの病気を急性感染症という。しかし、らい菌によるハンセン病では3~4年、はしかウイルスによる亜急性硬化性全脳炎では約6年、クロイツフェルト=ヤコブ病では数十年といわれ、これらの病気は亜急性感染症または遅発性感染症とよばれる。
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