スペクトル
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スペクトル
III. 分光

スペクトルをつくり、視覚的にみる装置は分光器である。写真でスペクトルを観察し記録する装置を分光写真器といい、スペクトルの各部分の明るさを測定する装置を分光計(スペクトロメーター)という。分光器、分光写真器、分光計をつかってスペクトルを研究する分野を分光学という。分光学では、スペクトルをえるのにプリズムではなく精度の高い回折格子を使用する場合が多い。きわめて精密な分光学的な測定のためには、ほかに干渉計がつかわれる。

19世紀に、スペクトルの紫の端の外に、人間の目にはみえないが光化学作用をもつ放射のあることが検出された。この放射は紫外線と名づけられた。同様にスペクトルの赤の端の外側に、目にはみえないがエネルギーをつたえて温度計の温度をかえる作用のある赤外線が検出された。そこでスペクトルとは、これらの目にみえない放射もふくむものとあらためられ、それ以来、赤外線よりもさらに外側の放射や、紫外線よりも外側のX線やガンマ線にまで広げられてきた。電磁波

色のことなる光や赤外線、紫外線、X線やガンマ線も、振動数と波長がちがっているだけで、秒速約30万kmの速さですすむ電磁放射からなっているという点では同じである。振動数は光の速さを波長で割ったものに等しい。同じ波長をもつ2つの光線は、同じ振動数、同じ色をもっている。光の波長はひじょうに短いので、ナノメートル(nm:10億分の1メートル)であらわすのが便利である。紫の光は400~450nm、赤の光は620~760nmの波長をもつ。紫外線やX線、ガンマ線は、400nmより波長が短く、赤外線は760nmより波長の長い電磁波ということもできる。

分光学は、天文学と原子理論という分野で重要な発見をもたらしてきた。分子や原子の外側の電子の状態(エネルギー)が変化すると、その分子や原子に固有の可視光、赤外光、紫外光の領域での光の放射または吸収のスペクトルがつくりだされる。重い原子の内殻電子の状態の変化は、やはり固有のX線スペクトルをつくりだす。このことを応用することで、実験室内の化学物質の分析だけでなく、地球からはなれている天体など宇宙空間に存在する物質を推定することができる。ルミネセンス:化学分析:炎色反応