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| IV. | ポルトランドセメントの組成と製造 |
普通ポルトランドセメントは、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)とアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3)およびケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)をいろいろな比率で混合した混合物で、少量のマグネシウムや鉄分をくわえてつくる。石膏は硬化のプロセスをおそくするためにくわえられる。
セメントの中にあるこれらの活性配合物は不安定であるが、水をくわえると構造をくみかえる。セメントを最初にかためるのはケイ酸三カルシウムの水和作用で、ゼリー状のシリカと水酸化カルシウムをつくる。これらの物質は最終的には結晶化し、モルタルやコンクリートにふくまれている砂や石の分子と結合して、かたい塊となる。
アルミン酸三カルシウムは同じように作用して最初のゼリー状態をつくりだすが、最終的に混合物を硬化させる役目ははたさない。ケイ酸二カルシウムの水和作用は同じように進行するが、進行は遥かにおそく数年かかってしだいに硬化する。セメントを混合してコンクリートとし、硬化するまで温度や水分を管理することを養生(キュアリング)という。この期間に熱が発生する。養生が不適切だと強度が低下したり、割れができる。
ポルトランドセメントは石灰分をふくむ材料、通常は石灰石であるが、粘土や頁岩またはアルミナやシリカをふくむ高炉スラグとまぜてつくられる。およその配合比率は、石灰60%、シリカ19%、アルミナ8%、鉄分5%、マグネシア5%、三酸化イオウ3%の割合である。
セメント・ロックとよばれる塊は、適当な比率でまぜあわされたこれらの原料からなり、そのほかの原料はあまりつかわない。セメントの製造工程で原材料はまとめて粉砕され、その配合物はクリンカー(焼塊)になるまで加熱される。そしてクリンカーを破砕して微細な粉末にする。焼成は長さ150m程度、直径4m程度のロータリー・キルンという回転窯(→ 窯)の中でおこなわれる。
キルンは水平よりやや傾斜し、原材料は上端から、乾燥したロック・パウダーの状態か、粉砕したロックに水をまぜてペースト状にして、キルンの中になげこまれる。なげこまれたものはキルンをくだっていく過程で乾燥され、下端で火炎で加熱される。火炎に近づくと炭酸ガスが放出され、火炎付近の1450°Cから1600°Cの高温の中で、原料を溶解する。材料がキルンの一方の端から他方の端まで通過するのにおよそ6時間かかる。クリンカーは、キルンをでると急速に冷却して粉砕され、そして送風機で梱包機械や収納サイロにおくりこまれる。
セメントの品質をチェックするために多くのテストがなされる。一般的な方法は、セメント1に対して砂3の割合のモルタルの標本をつかい、1週間空気と水の中においたのちに、その抗張力を測定するやり方である。良質なセメントはそのような条件で1cm²当たり19.4kgの抗張力をしめす。
| 1. | 性質の改良 |
通常の配合物や添加物の比率をかえることによって、ポルトランドセメントはのぞましい性質がえられる。たとえば、急速硬化、低温水和、耐アルカリ性などである。早強セメントともよばれる急速硬化セメントは、ケイ酸三カルシウムの比率をふやしたり、粒子の99.5%が1cm²当たり1万6370個の穴がある篩(ふるい)を通過するような、より細かな粒子にしたりして、つくることができる。
このセメントは、通常のセメントがじゅうぶんな強度になるまで1カ月かかるのに対して、1日で硬化してしまう。しかし、水和作用の過程で多くの熱を発生するので、熱がクラック(ひび割れ)を生じさせるような大型の構造物には不適当である。通常ケイ酸三カルシウムの割合が多い特別な低温セメントは、大量にそそぎこむ場合につかわれる。
コンクリートの打ち込み作業がアルカリ性の状況下でおこなわれ、ポルトランドセメントでつくられたコンクリートを浸食するような場合には、アルミニウムの含有量をへらした耐アルカリ・セメントがつかわれる。塩水のもとでつかうセメントは5%の酸化鉄をふくんでいる。また、40%の酸化アルミニウムをふくむセメントが、硫酸塩をふくむ鉱泉水にたえるためにつかわれる。