セメント
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セメント
III. セメントの分類と用途

セメントには、消石灰や石膏、マグネシアセメントなどのような空気中で硬化する気硬性のセメントと、ポルトランドセメントなど建築土木工事に利用される水硬性のセメントがある。なお、硬化したのちは水中でも利用できる水硬性セメントとちがい、気硬性セメントは水中では使用できない。現在、セメントといえば水硬性セメントのことである。日本では、各種ポルトランドセメント6種と混合セメント3種に関してはJISで規定がもうけられている。

1. 用途に応じたポルトランドセメントの種類

一般の土木建築工事やセメント製品など、もっとも多く使用されている普通ポルトランドセメントは、セメントの総生産量の8割近くを占めている。そして、混合物の割合をかえることによって特徴のある各種のポルトランドセメントがつくられている。

普通ポルトランドセメントよりもケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)を多くふくむ早強ポルトランドセメントは、初期強度が大きいという特徴がある。この特徴を生かし、冬季の工事や緊急工事などに利用されるほか、コンクリート製品工場などにも使用されている。また、水和熱(気体イオンが水溶液となるときのエネルギーの減少)を低くした中庸熱ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントにくらべてケイ酸三カルシウムとアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3)を少なくし、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)を多くしている。これは乾燥による収縮も少なく、長期強度にすぐれている。そのため、ダムなどのマスコンクリート工事や道路舗装などにつかわれる。このほか、アルミン酸三カルシウムを少なくして硫酸塩に対する抵抗性を高めた耐硫酸塩ポルトランドセメントや、中庸熱ポルトランドセメントよりもさらに水和熱の低い低熱ポルトランドセメント、低アルカリ形のポルトランドセメントなどがある。

2. 混合セメント

混合セメントとは、ポルトランドセメントにJIS規格でさだめられた、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質混合材を混合したセメントである。製鉄所から出る高炉スラグの微粉末を混合材につかう高炉セメントは、化学抵抗性にすぐれ、長期にわたり強度がえられることから河川や港湾、ダムなどの土木工事に広く利用されている。石炭の燃焼時に生じる良質なフライアッシュ(微粉状の石炭灰)を混合材につかうフライアッシュセメントは、水和熱が低く、流動性にもとむことからダムのマスコンクリート工事などの大型土木工事につかわれている。シリカ(二酸化ケイ素)分の多い白土や火山灰などを混合材とするシリカセメントは、緻密(ちみつ)で透水率や透気率はひじょうに小さいという特徴があり、ダムや水路などの土木工事につかわれている。

3. 特殊セメント

上記のJISに規定があるセメント以外の特殊なセメントも利用されている。歯の治療用に使用される歯科用セメントや、耐火物用のリン酸セメントなど多くの種類がある。アルミニウムの原料のボーキサイトと石灰石を主原料にしたアルミナセメントなどは、きわめて短時間で強度を出すことができる。また廃棄物問題の解決策として注目をあつめているエコセメントは、都市ゴミや焼却灰、下水汚泥を主原料としているが、微量の塩素をふくむため鉄筋をつかう工事には不向きだったが、最近ではよりふつうのセメントに近いものも開発されている。