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| I. | プロローグ |
株式や債券などの有価証券を集中的に売買する目的で開設された市場のこと。日本の場合、証券取引法上は、内閣総理大臣の免許をうけて有価証券市場を開設する法人のことをさすが、通常はその法人によって開設された市場(取引所市場という)のことをさす。証券取引所でおこなわれる売買を取引所取引という。これに対して、証券取引所をとおさずに証券会社の店頭でおこなわれる売買のことを店頭取引といい、それがおこなわれる場を総称して店頭市場という。
かつては、証券取引所というと、特定の場所に市場が開設され、そこに顧客の注文をもった証券会社があつまってくるというイメージであったが、最近はコンピューター・ネットワークの進展により、電子的に市場を形成することが可能になってきたので、証券取引所のイメージも大きくかわりつつある。つまり、電子情報のかたちでおくりこまれる注文をコンピューターで集中処理すればよいので、わざわざ特定の場所に足をはこぶ必要はなくなってきている。いわゆる証券取引所の電子化である。
現在、日本には、既存の証券取引所(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡)と、2004年(平成16)に証券取引所の免許を取得したジャスダック、計6つの証券取引所が存在する。店頭市場であったジャスダックが証券取引所に移行できたのも、電子化を抜きにはかたれない。
| II. | 証券取引所の役割 |
企業や政府が新規に有価証券を発行して長期の資金を調達する場を発行市場という。国民の貯蓄を投資にふりむける場として、発行市場は重要な役割をはたす。しかし、発行市場だけでは、貯蓄資金を有価証券のかたちで運用しようと考えている人々(以下、投資家という)は、安心して購入することができない。なぜなら、満期の長い有価証券を購入したら、いざ資金が必要になったときに換金できないからである。つまり、流動性に対する懸念がある。そこで、既発行の有価証券を売買する場である流通市場が必要となる。流通市場が発達していれば、投資家は保有有価証券を他の投資家に転売するかたちでいつでも換金できるので、形式上の満期にこだわる必要がなくなる。
流通市場を直接的にささえているのは、証券会社である。証券会社は、ブローカーとして売り手と買い手をむすびつけたり、ディーラーとして売り手(買い手)の取引相手をつとめたりしている。しかし、証券会社だけではそうした業務に限界があり、有価証券の流動性はじゅうぶんに高まらない。そこで登場してくるのが証券取引所である。証券取引所は、高度に組織化された取引所市場を開設し、会員の証券会社をとおしてそこに大量の売買注文を集中させる。それにより、有価証券の流動性を高め、取り引きの円滑化に貢献している。
証券取引所のはたしている役割はそれだけではない。市場での取り引きを監視することで、需給を反映した公正な価格を形成し、その価格を開示するという重要な役割もはたしている。価格が公正に形成されているという信頼性がゆらいだら、投資家は安心して有価証券投資に参加しようとはしないであろう。
| III. | 証券取引所の組織形態 |
証券取引所の組織形態には、証券会社を会員とする会員組織と株式会社組織の2つがある。会員組織というのは、証券取引所の管理運営にあたる者と取引所市場で売買取引をおこなう者が同一人格の組織形態である。管理運営が会員の自治(自主規制)によりおこなわれること、営利を目的としないことなどに特徴がある。一方、株式会社組織というのは、証券取引所の管理運営にあたる者と取引所市場で売買取引をおこなう者とが別人格の組織形態である。株式会社であるがゆえに、営利を目的としている点に大きな特徴がある。
日本では、証券取引所の組織形態として、これまで会員組織しかみとめられていなかったが、2000年5月の証券取引法改正により、株式会社組織も選択できるようになった。それにともない、01年4月に大阪証券取引所が、同年11月に東京証券取引所が、02年4月に名古屋証券取引所が、それぞれ株式会社に組織変更した。こうした株式会社化の背景には、証券取引所をとりまく内外環境のはげしい変化がある。すなわち、海外証券取引所との連携・合併に対するそなえ、システム投資のための資金調達手段の多様化、意思決定の迅速化などが生き残りのために急務であるという認識が、取引所関係者に高まった結果である。事実、ヨーロッパの証券取引所はあいついで株式会社化にふみきっている。
| IV. | 売買取引の対象 |
有価証券が証券取引所で売買取引の対象となることを、上場という。有価証券にもいろいろな種類があるが、証券取引所に上場されるのは、主として株式と株式関連商品(株価指数先物、株価指数オプション、株券オプションなどのデリバティブ商品、転換社債型新株予約権付社債、ETF(株価指数連動型上場投資信託)など)である。
債券については、取引対象銘柄がきわめて多岐にわたるため、ディーラー役の証券会社を相手とした店頭取引のほうがむいており、実際にも、店頭取引が大半を占めている。それでも、一部の債券が証券取引所で取り引きされているのは、(1)代表的な上場銘柄の相場が他の銘柄の店頭取引に際しての指標価格となる、(2)証券会社の債券在庫調整のためのディーラー間市場としての役割をはたしている、などの理由からである。
| V. | 上場制度 |
株式や債券などの有価証券ならだれが発行したものでも上場されるというわけではない。証券取引所は、投資家保護の観点から、上場審査基準や上場廃止基準をもうけている。
| 1. | 上場審査基準 |
証券取引所は、有価証券の発行者から上場申請があると、上場審査基準をみたしているか否かを審査する(発行者が政府の場合には審査はおこなわれない)。審査の結果、基準をみたしていることが判明すると、証券取引所は当該有価証券の上場を承認し、内閣総理大臣への届け出をおこなったのち、上場する。
東京証券取引所第1部または第2部に上場する株式についていうと、東京証券取引所はまず、形式要件(上場株式数、株式の分布状況、上場時価総額、設立後経過年数、株主資本の額、利益の額などの数値基準)をみたしているか否かを審査する。形式要件をみたしたものについて、今度は、企業内容などの開示を適切におこなうことができる状況にあるか、事業を公正かつ忠実に遂行しているかなどの実質要件をみたしているか否かを審査する。その結果、上場が適当とみとめられた株式が上場されることになる。
なお審査基準は、1部、2部、新興市場によってことなり、1部がもっともきびしく、新興市場がもっとも緩やかである。多くの株式会社に資金調達の機会をあたえる一方、投資家には上場会社の信頼度の判断を提供する仕組みとなっている。
| 2. | 上場廃止基準 |
証券取引所は、上場有価証券が上場廃止基準に該当する恐れが生じた場合、市場の混乱をさけるために一定の措置をとったうえで、審査をおこなう。審査の結果、廃止基準に該当していることが判明すると、当該有価証券の上場廃止を決定し、内閣総理大臣への届け出をおこなう。たとえば、東京証券取引所の上場株券の場合、廃止基準に該当する恐れが生じると、投資家に周知するために当該株券を監理ポストにわりあてる。そして、上場廃止が決定されると、それを整理ポストにうつし、一定期間(原則として1カ月)売買をみとめたのち、上場廃止にする。
上場廃止基準の内容であるが、東京証券取引所の上場株券を例にとると、たとえば、少数特定者(役員など)の持株数が上場株式数の75%超の場合(猶予期間1年)、同じく90%超の場合(猶予期間なし)、株主数が一定人数未満の場合(猶予期間1年)、上場時価総額が10億円未満の場合(猶予期間9カ月)、有価証券報告書等に虚偽記載があり、その影響が重大であると取引所がみとめた場合、銀行取引停止処分をうけた場合などに、上場廃止となる。
| VI. | 売買制度 |
取引所市場で売買をおこなうことを売買立会(たちあい)取引という。売買立会取引は、市場の休業日をのぞいて、一定の時間におこなわれる。東京証券取引所を例にとると、取引時間帯は、午前9時から11時までの午前立会(いわゆる前場:ぜんば)と、午後0時30分から3時までの午後立会(いわゆる後場:ごば)の2つにわけられる。東京証券取引所では、売買立会取引のほかに、上記時間帯の前後一定の時間におこなわれる立会外取引(時間外取引)というのもあり、立会外分売がおこなわれている。
注文の仕方には、指し値注文と成り行き注文の2つがある。前者は、売買する際に、買いたい値段、売りたい値段を指定して出す注文のことである。後者は、値段を指定せずに出す(つまり相場の流れにまかせる)注文のことである。
売買契約の締結方法には、伝統的なオークション(競争売買)方式と、比較的歴史の浅いマーケット・メーク(値付け)方式の2つがある。売買契約が成立したときの価格を約定(やくじょう)値段というが、これらは約定値段の決定方式といってもよい。
| 1. | オークション(競争売買)方式 |
オークション方式とは、取引所の会員が顧客の注文をもちより、価格優先と時間優先という2つの原則にもとづいて、買い注文と売り注文の付き合わせをおこなう仕組みである。価格優先の原則とは、もっとも価格の高い買い注文と、もっとも価格の安い売り注文が、他の注文より優先されるという原則である。時間優先の原則とは、同じ価格の注文であれば、先に出された注文が後に出された注文より優先されるという原則である。こうして、優先順位の高い買い注文と優先順位の高い売り注文をつきあわせ、価格でおりあったときに、その価格を約定値段として売買契約が成立する。
以上がオークション方式の一般的な説明であるが、東京証券取引所では、取り引きの時間帯によって、この方式はさらに板寄せ方式とザラバ方式にわけられる。板寄せ方式は、(1)立会開始時の約定値段、(2)売買中断後の最初の約定値段、(3)立会終了時の約定値段、を決定するときに採用される。具体的には、買い注文と売り注文を優先順位の高いものから順次つきあわせていき、売り注文数と買い注文数がちょうど一致する価格をもとめ、それを単一の約定値段として売買契約を締結させる方法である。したがって、一定時間内にきまる約定値段は1つだけとなる。
一方、ザラバ方式は、立会開始時の約定値段が決定されたあと、立会終了時まで継続的におこなわれる売買契約の締結方法である。具体的には、新たに買い(売り)注文が発せられるたびに、既存の優先順位の高い売り(買い)注文とつきあわせ、価格面で折り合いがつきしだい、それを約定値段として売買契約を締結させる方法である。したがって、取り引きごとにことなった約定値段が成立しうる。
| 2. | マーケット・メーク(値付け)方式 |
マーケット・メーク方式とは、値付けしたい銘柄を事前に届け出て承認された証券会社(マーケット・メーカーとよぶ)が、当該銘柄に対して、売り気配、買い気配、各気配での売買可能株数を常時提示し、市場参加者の売買注文に応じて自己勘定で取り引きをおこなう仕組みである(気配とは希望する値段のこと)。マーケット・メーカーは常に売り・買い両気配を提示し、売買注文にはかならず応じなければならないので、取り引きが不活発なときや注文が売り一方または買い一方となってしまったときでも、流動性が確保されることになる。
| VII. | 日本の証券取引所 |
日本の証券取引所は、かつては新潟、広島、京都、神戸にも存在したが、神戸は1967年(昭和42)に廃止され、広島と新潟は2000年(平成12)に東京に吸収合併され、京都は01年に大阪に併合された。その結果、現在では、既存の証券取引所は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5カ所だけとなり、これに新設のジャスダック証券取引所をくわえて、6つの証券取引所が存在する。
国内の証券取引所を2004年度の株式売買代金のシェアで比較してみると、東京証券取引所が92.2%、大阪証券取引所が3.9%、ジャスダック証券取引所が3.7%となっている。上位3つの証券取引所だけで全売買代金の99.8%を占めており、なかでも東京証券取引所がずぬけて大きいことがわかる。
| 1. | 東京証券取引所(東証) |
日本を代表する証券取引所。東京都中央区日本橋兜町に所在する。略称は東証で、英文名はTokyo Stock Exchange Inc.。1949年(昭和24)に証券取引法にもとづいて設立された。大企業を中心とした第1部、中堅企業を中心とした第2部、新興企業向けのマザーズという、上場審査基準のことなる3つの株式市場を開設・運営している。
東証が算出・公表している東証株価指数(TOPIX)は、日本経済新聞社の日経平均(→ 日経225・日経300)とともに、日本の主要株式市場である東証1部の全体的な値動きをしめす指標として、重要視されている。
上場されている有価証券は多岐にわたり、現物株式や国債を中心とした現物債券のほかに、TOPIX先物、TOPIXオプション、株券オプション、国債先物、国債先物オプションなどのデリバティブ商品、転換社債型新株予約権付社債、ETF、REIT(不動産投資信託)などがある。
株式の売買制度については、前項でのべたとおり、板寄せ方式とザラバ方式の2つからなる競争売買方式が採用されている。
| 2. | 大阪証券取引所(大証) |
東証につぐ日本で2番目の規模の証券取引所。大阪市中央区北浜に所在する。略称は大証(だいしょう)で、英文名はOsaka Securities Exchange Co., Ltd.。大阪に諸藩の蔵屋敷があった江戸時代の米穀取引所が起源で、1878年(明治11)に五代友厚らが発起人となって設立された大阪株式取引所が前身である。東証と同様に、第1部、第2部、新興企業向けのヘラクレスという、上場審査基準のことなる3つの株式市場を開設・運営している。
2000年(平成12)6月にアメリカのナスダックと提携してナスダック・ジャパンを開設し、新興企業向け市場のスタンダードとなることが期待されたが、不振がつづいたため、02年12月にナスダックが提携を解消した。その後、ヘラクレスと改称して、大証が単独で運営を継続している。
現物株式の取り引きでは東証に大きくひきはなされているが、日経平均先物、日経平均オプション、株券オプションなどのデリバティブ商品の市場として、東証にはない存在感をしめしている。
株式の売買制度については、東証のそれと基本的に同じである。
| 3. | ジャスダック証券取引所 |
日本を代表する新興企業向けの株式市場。東京都中央区日本橋人形町(にんぎょうちょう)に所在する。英文名はJASDAQ Securities Exchange Inc.。日本証券業協会を運営主体とする店頭市場であったジャスダックが、2004年12月に証券取引所の免許を取得し、取引所市場に業態転換した。これにともない、運営主体は株式会社ジャスダック証券取引所に移行し、それまで証券会社が関与していた上場審査・市場管理などは、同社がおこなうことになった。また、それまで店頭市場では禁止されていた、成行注文、先物・オプション取引、立会外分売などが可能となった。
ジャスダックという言葉は、もともと、コンピューターを利用した株式店頭市場機械化システム(Japan Securities Dealers Association Quotation System:JASDAQ)のことをさしていたが、上述のように、現在では、ジャスダック証券取引所が開設する取引所市場のことをさす。
ジャスダック証券取引所では、オークション方式とマーケット・メーク方式という2つのことなった売買制度が導入されており、銘柄ごとにどちらか一方の方式が採用されている。オークション銘柄はJASDAQオークション・システムにより売買がおこなわれ、マーケット・メーク銘柄はJASDAQマーケット・メーク・システムにより売買がおこなわれている。
| VIII. | 世界の主要な証券取引所 |
世界の証券取引所を2004年末時点の時価総額で比較してみると、1位がニューヨーク証券取引所で約12.7兆ドル、2位が東京証券取引所で約3.5兆ドル、3位がロンドン証券取引所で約2.8兆ドルとなっている。取引所市場だけでなく店頭市場も比較の対象にふくめると、アメリカのナスダックが約3.4兆ドルで、東京証券取引所とほとんどかわらないことがわかる。これを04年の株式売買代金で比較してみると、1位がニューヨーク証券取引所(約11.5兆ドル)、2位がナスダック(約8.6兆ドル)、3位がロンドン証券取引所(約5兆ドル)、4位が東京証券取引所(約3兆ドル)の順であり、アメリカの株式市場に世界の投資資金が集中していることがわかる。
経済のグローバル化の時代をむかえ、世界の証券市場は統合・再編の動きが活発化している。2000年にはパリ証券取引所、アムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所の3つが合併してユーロネクストが誕生した。ユーロネクストはその後、ロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)やリスボン証券取引所を吸収して拡大。06年にはフランクフルト証券取引所との合併交渉がもたれて不発におわったものの、07年にニューヨーク証券取引所との合併をはたした。また、ナスダックはロンドン証券取引所の買収をねらい、TOBをしかけたが、これは失敗におわった。
| 1. | ニューヨーク証券取引所 |
1792年に証券ブローカーによってはじめられ、1817年に取引所組織を確立したニューヨーク証券取引所は、アメリカでもっとも歴史が古く、かつ世界で最大の証券取引所である。英文はNew York Stock Exchange(NYSE)。ニューヨークのウォール街にある。ロンドン、東京とともに世界3大証券取引所と称せられるが、他の証券市場への影響力は圧倒的に大きく、そこでの株価動向が世界の株式市場にただちに波及する。GE、コカ・コーラ、IBMをはじめ、アメリカを代表する伝統ある企業が数多く上場している。
売買制度としては、オークション方式とマーケット・メーク方式の折衷であるスペシャリスト方式が採用されている。1銘柄につき1人のスペシャリストがわりあてられ、大口の売買注文に対しては、スペシャリストが自己勘定で取り引きに応じる。一方、小口の売買注文は、スーパードット(SuperDot)システムとよばれる小口注文執行システムを利用してスペシャリストのブック(指し値注文の控え)に電子的におくりこまれ、そこで機械的に処理される。
2007年4月にヨーロッパのユーロネクストと合併してNYSEユーロネクストが誕生。東京証券取引所をはじめとするアジアの証券市場との提携にも力をいれている。
| 2. | ナスダック |
電子ネットワークを通じて取り引きされるアメリカの株式店頭市場。英文はNASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotation)。伝統的な意味での証券取引所ではないが、世界で最初の電子証券取引所として位置づけられている。もともとナスダックという言葉は、アメリカ証券業協会(NASD:The National Association of Securities Dealers, Inc.)が1971年に開設したコンピューターを利用した売買システムをさしていたが、現在では、これをつかった電子市場をさす言葉となっている。
NYSEとくらべて公開基準がゆるく、ハイテク関連などのベンチャー企業が株式を公開し、資金調達をおこなっている。日本のジャスダックに似ているが、日本のように、ジャスダックに上場した企業が成長してくると東証に上場先を変更するという動きはあまり一般的でなく、世界的に有名になったマイクロソフト、インテル、Yahoo!などが現在でも同市場で取り引きされている。
売買制度としては、マーケット・メーク方式が採用されている。顧客との取り引きは店頭での相対取引だが、NASDの管理下にある気配自動通報システムを介して、複数のマーケット・メーカーが競争的に気配を表示している。電子ネットワークを利用して注文が処理されるので、NYSEとは対照的に、一瞬のうちに大量の取り引きの処理が可能である。
| 3. | ロンドン証券取引所 |
ロンドンの金融中心地シティにあるヨーロッパ最大の証券取引所。英文はLondon Stock Exchange(LSE)。イギリスでは17世紀末頃からさまざまな証券取引がおこなわれるようになり、証券業務を専門にいとなむ業者が登場しはじめていた。そうした中、1698年、彼らのたまり場であった「ジョナサンズ」というコーヒー・ショップではじめて組織的な証券取引がおこなわれたという記録がある。そして、1773年、150人の株式仲買人が「ニュージョナサンズ」で組合を結成し、名称を証券取引所に変更したのが、今日のロンドン証券取引所のはじまりといわれている。
イギリスでは、1986年に思いきった証券市場改革(いわゆるビッグバン:→ 金融制度改革)がおこなわれ、市場参加者にとって使い勝手のよい市場にむけて徹底的な整備がなされた。その結果、株式市場は順調に拡大し、とくに外国株式取引が急速に拡大した。現在では、本国をのぞいて60をこえる国々から480以上の企業が上場し、世界でもっとも国際的な証券取引所となっている。
売買制度としては、マーケット・メーク方式が採用されている。ビッグバン以降、立会場の取り引きは廃止され、コンピューター端末と電話をつかって取り引きをおこなうスクリーン取引に移行している。SEAQ(Stock Exchange Automated Quotations)とよばれる証券取引自動表示システムであるが、同取引所に上場されていない外国株式でも、気配を提示するマーケット・メーカーが存在すれば、同様のシステムが適用され、取り引きが可能となる。現在、日本株は本国市場の約5分の1がロンドン証券取引所で取り引きされている。
| 4. | ユーロネクスト |
2000年9月にパリ証券取引所、アムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所が合併して設立された。合併後の各証券取引所は、それぞれユーロネクスト・パリ、ユーロネクスト・アムステルダム、ユーロネクスト・ブリュッセルとなった。01年にロンドン国際金融先物取引所を買収、02年にはリスボン証券取引所(ユーロネクスト・リスボンと改称)と経営統合し、ロンドン証券取引所に匹敵する規模にまで拡大した。さらに07年4月にはニューヨーク証券取引所をかかえるNYSEグループと経営統合して新会社NYSEユーロネクストを発足させ、アメリカとヨーロッパ両方にまたがる巨大証券市場が誕生した。