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| I. | プロローグ |
維管束植物の器官のひとつで、ふつうは地下にあり、水分や溶解した無機化合物の吸収と移動、光合成によってつくられた栄養分の貯蔵、土壌への植物体の支持など、いくつかの働きをしている。根は、構造やそれがつくられる仕組み、あるいは芽や葉などの付属器官がないことで茎とことなっている。
裸子植物や双子葉植物の場合、最初に出る根を幼根といい、種子が発芽する間にのび、生長して主根となる。主根から枝分かれした根を側根という。多くの植物では主根は側根よりずっと太く、地中深くのびているので直根ともよばれる。直根がひじょうに太くなったものが、ニンジンやダイコンである。直根をもつ植物は、直根が傷つくと根全体がかれることもあるので、植え替えがむずかしい。
一方、単子葉植物の場合は、発芽すると主根の生長がとまり、茎の下部から多数のひげ根とよばれる不定根が生える。たとえば、トウモロコシの茎の基部から出ているものである。茎のかなり上のほうに出る不定根を、気根あるいは支柱根という。不定根には、ベンガルボダイジュやマングローブやある種のランにみられるように、茎を支持する働きがある。
| II. | つくり |
根は、表皮・皮層・維管束の3つの組織系からなる。表皮の細胞の一部は、水分を吸収しやすいように変形している。このような細胞から、根毛という長い管状の突起が吸収面となって、根を土壌に定着させている。根毛によって吸収された水分は、水分や養分を貯蔵している皮層を通過して中心部の維管束にうつり、そこで茎の上のほうへすいあげられる。根の維管束系は、茎の維管束とはつくりがまったくちがう。茎では木部と師部があつまってひとつの維管束をかたちづくっているが、根では木部が芯(しん)として放射状の束になり、その間をぬうように師管の束がある。地下根では木部の中心部はふつうかたいが、気根では中心部に柔組織からなる髄(ずい)がある。
| III. | 生長 |
ふつうの状態では、根の生長はおもに重力や水に左右される。地表付近の水が利用しやすい場合をのぞいて、根は土の中に下方へのびる傾向がある。根は、先端部の一次分裂組織によってのび、二次分裂組織によって、木部は内側に、師部は外側に広がっていく。このように師部が外側に拡大していくと樹皮が形成され、古い茎や古い根をおおう。そのため、古い根と古い茎はみわけにくい。
茎を切るとその切り口から根が生えてくるものが多く、増殖法として利用される。ヤナギやゼラニウムなどは簡単に根が生えるが、針葉樹などは別の処置をしないと生えてこない。新しい根が生えるときに分泌される植物ホルモンを切り口にぬると、根の形成が促進される。実際にもっともよくつかわれる根の生長刺激剤は、植物体内でつくられる天然のオーキシン(インドール酢酸)をふくむものである。セントポーリアのように、葉を切り、その切り口を水につけておくと根を出すものもある。またイタリアヤマナラシ(セイヨウハコヤナギ。→ ヤマナラシ:ポプラ)などは、根元のあちこちから茎がのびてくるが、これは根が発芽したものである。
| IV. | 利用 |
根が食べられる植物は多い。根には栄養分、とくに炭水化物が豊富にふくまれている(→ 塊根:貯蔵デンプン)。根菜類(→ 野菜)には、サツマイモ、ダイコン、カブ、ニンジン、タピオカ(→ キャッサバ)などがあり、重要な農産物となっている。根菜類でも、野生種は栽培種より小さいものが多い。栽培種は品種改良により、大きさ、歯ざわり、栄養価、香りなどが改良されたものである。