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チーズ
I. プロローグ

ウシ、ヒツジ、ヤギなどの乳を原料とした、固形または半固形状の乳製品。現在では、牛乳を原料としたものが大半を占めている。チーズの起源は、有史前にさかのぼる。製法が比較的簡単であるうえに、長期保存が可能なため、世界じゅうのほぼあらゆる民族の間でかかせない食品になっている。

II. 製法

牛乳のおもな固形成分は、カゼインとよばれるタンパク質である。生乳、または低温殺菌乳をあたたかい場所に放置すると、乳酸菌の働きによって発酵し、カゼインが凝固する。ただし、低温殺菌乳の場合には、乳酸菌まで殺菌されてしまうため、乳酸菌スターターをくわえなければならない。

次に、濃厚な凝固物(カード)から、乳清(ホエー)を除去する。この昔ながらの製法は、今日でもカテージチーズ、ゴーダチーズの生産に利用されている。しかし現在では、レンネット(凝乳酵素)を添加してカードを形成させる製法が一般的である。このカードには、タンパク質をはじめ、脂肪、無機質、糖分、ビタミンなど牛乳の栄養価の大半がふくまれている。羊乳、山羊乳を原料としたチーズは、牛乳を原料としたものよりタンパク質が豊富である。

次の工程では、圧搾(カードを型詰めし、さらにホエーを除去する)と加塩(保存性と食味をよくする)がおこなわれる。加塩後、長期保存にそなえてカード表面をコーティングし、適温適湿にたもたれた室内で熟成させる。熟成期間は種類によりことなるが、クリームチーズやカテージチーズでは熟成させない。一般に、熟成期間や製造工程が長いほど濃厚な風味をもつ製品ができる。熟成中、内部にさまざまなガスが生成され、外部へにげずに内部で発酵する種類もある。エメンタール(スイス)チーズなどでは、内部に独特なガス孔(チーズの目)が形成される。

熟成度を高めるために、ブルーチーズ(ロックフォールチーズ)では無害なアオカビの胞子をもちい、ブリチーズやカマンベールチーズではシロカビの胞子を利用する。このシロカビにおおわれたチーズの外皮はたべられるが、好みはわかれる。その他のチーズの外皮は、ホエーあるいは食塩水であらう。また、種類によっては外皮が形成されないものもある。

III. 種類

現在2000種類以上のチーズがあるといわれている。原料乳の種類による分類以外では、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2つに大別される。プロセスチーズは比較的歴史が浅く、種々のナチュラルチーズを混合し、乳化剤をくわえて製造する。ナチュラルチーズとくらべて保存性にすぐれ、栄養価はかわらない。

チーズの脂肪含有量(水分をすべて除去した固形物中の)は、原料が全乳であるか、あるいは脱脂乳、半脱脂乳、強化乳であるかによって変化する。脱脂乳チーズの乳脂肪分は、0.5%以下である。いっぽう、チェダー、ゴーダ、カマンベールなど標準的なチーズの脂肪分は45~50%、2~3倍のクリームを添加したクリームチーズの乳脂肪は60~75%である。

ほかにも、硬さや水分の量によって分類できる。熟成期間が長く風味の強い特別硬質チーズ(パルメザンなど)、硬質チーズ(チェダーなど)、半硬質チーズ(ロックフォール、リンブルガーなど)、軟質チーズ(カマンベール、カテージなど)に分類される。軟質チーズ、半硬質チーズは、熟成期間はさまざまだが、いずれも腐敗(腐敗と分解)しやすい。一般に市販されているチーズは、1.5~4.5°Cで冷蔵保存し、乾燥しないように表面をラップなどでおおう。

現在よく知られているチーズの種類を付表にまとめた。チーズはそのまま食べたり、さまざまな料理、ケーキ類などにつかわれているが、料理としては、スイスのチーズフォンデュがよく知られている。

日本へは奈良時代に唐から、チーズ状の乳製品である酪(らく)や酥(そ)、醍醐(だいご:醍醐味の語源)がもたらされていたが、本格的なチーズの利用は、1875年(明治8)北海道で製造され1900年に売りだされてからである。