錬金術
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錬金術
II. 四元素説

錬金術が誕生したのは古代エジプトで、ヘレニズム時代のアレクサンドリアで盛んになりはじめた。同じころ、中国にも錬金術の一派がさかえていた。中国の場合には「錬丹術」とよばれた。古代ギリシャの哲学者たちののこした文献には、おそらく最初の化学の理論であろうと推定される記述がみられる。「万物は空気、土、火、水からなる」という、前5世紀にエンペドクレスが発展させたこの理論は、錬金術に影響をあたえた。

ローマ皇帝カリグラは雄黄(硫化ヒ素:As2S3の化学成分をもつ鉱物)から金をつくる実験をおこなったといわれ、また、皇帝ディオクレティアヌスは、このような実験をやめさせるために、金および銀の化学に関するエジプトの著作を、すべて焼却するよう命じたといわれている。テーベのゾシモス(前300~前250ころ)は、硫酸が金属をとかすことを発見し、赤色の酸化水銀から酸素を遊離させた。

錬金術の基本的な考えは、アリストテレスの「万物は完全をめざす」という教義から生まれたものである。金以外の金属は、「完全さ」が金よりもおとると考えられていたので、自然が地球の深部にある他の金属から金をつくりだしたと考え、また、じゅうぶんな技術をもった勤勉な職人ならば仕事場でこれと同じことができるはずだと考えたのは、道理にかなっていた。この金をつくりだそうとする努力は、最初のうちは経験的・実践的なものであったが、4世紀になるころには魔術や儀式の様相を強くおびるようになっていた。