アルカロイド
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アルカロイド
I. プロローグ

植物塩基、類塩基ともいう。おもに植物に由来する、塩基性の窒素をふくむ有機化合物。少量で動物に強い生理作用をおよぼす。アルカロイドという言葉は、「アルカリのような」という意味である。古くから知られており、古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、ドクニンジンの種子からえられるコニインというアルカロイドで毒殺された。

アトロピンには瞳孔散大作用がある。イタリアの女性はナス科の植物ベラドンナの葉や根からしぼった液をうすめて、1滴眼にさし、パーティに出席した。ベラドンナは学名アトローパ・ベラドンナAtropa belladonnaとよばれる。これは命の糸をたちきる運命の女神のひとりアトロポスにちなんでいる。うすめたベラドンナの液、つまりアトロピンを点眼すると瞳孔が拡大して、眸(ひとみ)がかがやく。そのため彼女たちはこの植物にベラドンナ、つまり「美しい貴婦人」という名をつけた。現在でも眼科医は、アトロピンを瞳孔拡大の目的でもちいる。