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| II. | 飛行機のプロペラ |
飛行機のプロペラは、空気力学上、翼と同様で、空中で作動すると、羽根の断面形状に応じて空気の速度に対して直角および平行に揚力と抗力を生みだす(→ 空気力学:飛行機)。プロペラの作動によって生みだされる力は、すべての羽根の要素と羽根の数によって、飛行方向への推力となる。プロペラの回転面にあるもうひとつの成分は、駆動エンジンの回転モーメントを相殺する力である。
羽根の完全な運動には、飛行速度によってあらわされる前進速度と羽根の回転による回転速度の合成がある。このプロペラの運動の簡単な原理が、近年は、航空技術者によってきわめて精密に解析されるようになった。プロペラの運動のもうひとつの解析方法は、流体が羽根を通過するときにおきる流体のモーメントの変化にもとづくものである。この方法は、もともと、英国の造船技術者であったウイリアム・フロウドによってつかわれたものであったが、それほど完全なものではなかった。
一定の回転速度があたえられると、前進速度が増加するにつれて、結果として生じた、翼面における速度が増大する。同時に、その結果として生じた速度のベクトルと回転面との角度も増加する。したがって、羽根が固定したピッチをもっている場合には、羽根が、ほとんど、あるいはまったく推力を生じなくなる条件に達することがある。他方、前進速度が減少すると、速度のベクトルと羽根の角度があまりに大きくなりすぎて羽根が停止し、それにつれて羽根の効率が急速に低下することがある。
同じプロペラをことなる飛行特性をもった飛行機に適合させるためには、調整ピッチ・プロペラがつかわれるが、この場合は、有効ピッチをかえるようにハブで羽根を回転させることができる。この作業は、プロペラを飛行機からとりはずして、地上でおこなわなければならない。もっと効果的なやり方は、飛行中にピッチを調整できる羽根をもった可変ピッチ・プロペラをつかうことである。そうすれば最適条件にきわめて近い運航条件を維持することができる。
通常、この種のプロペラは、油圧または電気によって一定の回転速度で操作される。コントローラブル・ピッチ・プロペラは、プロペラの角度をかえて空気抵抗を少なくすることができる。つまり、羽根の角度を飛行方向に平行にセットして、エンジン故障の際におこりうるプロペラの空転をふせぐことができる。設計で逆ピッチ状態に羽根をセットできるようにして、着陸の際に逆推力と空気力学的な制動をあたえるようにすることもできる。
現在のプロペラの羽根は、ふつう、かたいアルミニウム合金または中空の鋼鉄でできている。プロペラには氷が付着しないように処理がほどこされている。プロペラは、静的および動的バランスがいずれも、きわめて高い精度でなければならない。たとえば、2枚の羽根をもったプロペラの1枚の羽根の中間に57gのおもりをつけ、もう一方の羽根の先端に28.5gのおもりをつけた場合、プロペラの静的バランスがとれたとする。すると、天秤にかけるように、羽根がどの位置にあっても、プロペラは回転しなくなる。だからといって動的バランスがとれているわけではなくて、高速で回転するとプロペラは振動をおこす。
オートジャイロやヘリコプターのローター(水平回転翼)は、いくつかの羽根でできており、その羽根の断面が翼のような形をしていて揚力を生みだすという点は、基本的には飛行機のプロペラと似ている。羽根は、ねじれはないが、飛行機のプロペラのようにピッチはかえられる。