パリ
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パリ
III. 都市の景観

パリの形はほぼ円に近く、セーヌ川によって2つにわけられる。セーヌ川はパリの南東から北西にむかい、ついで南西にながれる。川の中にはシテ島とサンルイ島がある。パリは、シテ島を中心に同心円状に発展し、古い城壁の外側に一回り大きな城壁をきずくとそれまでの城壁をとりこわして大通りとした。そのため現在では、放射状に広がる道路と3重の環状大通りがパリの主要な交通路となっている。

パリ旧市街は西のブーローニュの森と東のバンセンヌの森によって画される。どちらももとは王家の狩猟場だった。ブーローニュの森には、湖、競馬場がある。バンセンヌの森には、動物園、花の公園、博物館がある。市内には、もとは宮殿の庭園だったリュクサンブール公園とモンソー公園、採石場だったビュット・ショーモン公園がある。そのほか植物園、チュイルリー公園、シャン・ド・マルス公園など、多くの緑地が点在する。錯綜した通りをむすぶ広場もパリを特徴づける。広場は、馬車が主要な交通機関だった時代に駐車場としての機能をはたしたが、広げられ、整備されたのは19世紀後半である。コンコルド広場はルイ15世の時代につくられ、フランス革命のときにはここで多くの人がギロチンの犠牲になった。現在シャルル・ド・ゴール広場とよばれるエトワール広場には、ナポレオン1世の命によって建築がはじまり、その死後十余年をへて完成した凱旋(がいせん)門がたっている。よく知られた通りとして、リボリ通り、ラ・ペ通り、フォーブール・サントノレ通り、オペラ座通り、イタリア通り、モンパルナス通り、シャンゼリゼ通りがある。

パリのシンボルともいえるエッフェル塔は、1889年のパリ万国博覧会(博覧会と展示会)のために建設された比較的新しい建造物だが、重要な建物では、シテ島にあるノートル・ダム大聖堂がもっとも古く、1163年に建築がはじまった。同じシテ島のサント・シャペル礼拝堂はステンド・グラスのうつくしい13世紀のゴシック建築である。ルーブル美術館はかつて宮殿であった。ルイ14世によって、兵士の療養所として建設されたアンバリッド(廃兵院)には、ナポレオンの墓がある。ほかに重要な建物として、シャイヨー宮殿、パレ・ロワイヤル、現在は大統領府であるエリゼ宮殿、国民議会のあるブルボン宮殿、パレ・ド・ジュスティス(裁判所)、フランスの偉人の霊廟(れいびょう)であるパンテオンなどがある。

パリは近年まできびしい建築制限がおこなわれ、建物の高さは20m、ほぼ6階に制限されてきた。しかしとりわけ1980年代以後、パリの景観は大きく変化しつつある。ブーローニュの森の北西のラデファンス地区には高層オフィス街が出現した。旧市街でもモンパルナスの駅にたつ超高層ビルやエッフェル塔から下流のセーヌ川沿いの高層の職住地区は、はげしい議論をよんだ。高層建築ではないが中央市場の移転跡地にたてられたショッピング・センターのフォルム・デ・アル、バスティーユ広場に面してたてられた新オペラ座などが、新しいパリを代表する。