| 対位法 | 項目ビュー | ||||
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| III. | 歴史 |
対位法の歴史は中世末期にはじまる。このころ、カントゥス・フィルムス(定旋律)とよばれる既存の旋律に、単数ないし複数の声部がつけくわえられるようになった。数世紀をかけて、作曲家たちは相互関係のない、独立した旋律でありながら、和声とリズムの点でよくなじむ旋律をつくるようになる。対位法の技法はポリフォニーの黄金時代である16世紀に完成される。パレストリーナやラッススらの楽曲では、各声部の旋律がひじょうにうまくつくられ、リズムと進行に細心の注意をはらいながら、模倣技法をつかっている。この時代の無駄のないポリフォニーは比類ない完成度に達しており、現在なお対位法をまなぶための模範である。
対位法は18世紀前半、バッハやドイツからイギリスにわたったヘンデルらによってふたたび盛んになる。しかし、彼らの対位法は長調・短調を基盤とする和声にしたがっていた。古典派とロマン派の時代(18世紀後半~19世紀)の作曲家は、より直接的な感情表現をめざすようになり、そのために旋律と和声的な伴奏をもちいた。対位法は過去の学術的知識のたぐいとみなされ、副次的にもちいられるにすぎなくなった。
20世紀になると、ふたたび対位法に対する関心が高まり、過去の様式を模倣した新古典主義や、新しい方法論による音楽の中で復活する。19世紀末、長調・短調を基盤とする調性の体系が解体され、20世紀音楽はそれまでの厳格な和声規範から解放された。その結果、対位法的な書法で書かれた音楽の各声部は、それぞれがそれまでよりも自由に旋律の独自性を追求している。