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温度
I. プロローグ

温かさや冷たさの度合いを数字であらわしたもの。温度の概念は、物体どうしの温かさや冷たさを比較したり、物体に熱をくわえると、とけたり沸騰したりしないかぎり熱くなっていくことを観察したことから生まれた。

物体は温度がかわると、膨張したり収縮したりする。物体の電気抵抗も変化する。気体の場合は圧力がかわる(シャルルの法則)。そのため、温度の数値的な尺度をさだめるには、標準物質をきめて、その凝固点などを利用することがおこなわれている。

物理的には、温度は、物体や物体があつまった系が熱平衡状態にあるときの性質をいう。ことなった温度の2つの物体どうしでは、熱は熱い物体から熱くない物体へ、たがいの温度が等しくなるまでながれ、熱平衡に到達する(熱の伝達)。このように温度と熱は、たがいに関係しているが、別の概念である。温度は物体の性質であり、熱は温度差によってもたらされる、物体から、あるいは物体へのエネルギーの流れである。

温度は、物質の分子の平均運動エネルギーに依存する。気体運動論によれば、運動エネルギーは物質を構成する粒子の回転や振動、平衡移動にともなって生じるが、温度は分子の平衡移動運動のみに依存してきまる。分子は、理論的には絶対零度とよばれる温度でまったくうごかなくなる。→熱力学の「熱力学の第3法則」

II. 温度目盛り

温度変化は、ほかの物質の性質の変化によって測定される。16世紀末ごろにガリレイらが、気体の熱膨張を利用して温度計をつくった。アルコールをつかった温度計は、17世紀になってつくられた。18世紀初めに、ドイツの物理学者ファーレンハイトが水銀温度計をつくった。これは、細いガラス管に水銀を封入し、その熱膨張による伸びをはかり、水銀柱の高さで温度をとらえるものである。

今日、世界では5種類の温度目盛りがもちいられている。摂氏温度(セルシウス度)、華氏温度(ファーレンハイト度)、ケルビン温度、ランキン温度、国際実用温度である(温度計)。国際実用温度以外はみな提唱した人の名をとってよばれている。

摂氏目盛りは水の氷点を0°C、沸点を100°Cとするもので、スウェーデンの天文学者セルシウスによりつくられ、世界で広くもちいられている。単位としては、Cをもちいる。科学分野でもよく利用されているが、公式には国際実用温度目盛り(IPTS:International Practical Temperature Scale)が標準とされている。

ファーレンハイトによって考案された温度目盛りは、1気圧(10万1325Pa)のもとで水の氷点(水の凝固点)を32°F、沸点を212°Fとするもので、英語圏の国で水銀温度計によくもちいられている。単位としてはFがつかわれる。摂氏目盛りに換算するには、次のようになる。

C = 5/9 × (F - 32)

反対に、華氏温度を摂氏温度に換算するときには、次の式をもちいる。

F = 1.8C

ケルビン温度目盛りは、1848年にイギリスの科学者ウィリアム・トムソン(ケルビン卿)によって導入された。絶対零度つまり-273.15°Cを0Kとし、摂氏と同じ刻みで目盛りをつけたものである。ランキン温度目盛りは、ケルビン温度と同じように絶対零度を0°Rとし、華氏と同じ刻みでめもられ、水の氷点は492°R、沸点は672°Rとなる。

温度の測定精度が向上したことにともない、1927年から実用的な国際標準として、国際実用温度目盛りが利用されている。そこでは、物質の相転移などをつかった定義定点がさだめられ、90年からはITS-90がつかわれている。そのITS-90では、100°Cとされてきた水の沸点が99.974°Cに改定され、定義定点からははずされた。その結果、800°C近くで従来の温度目盛りとの誤差が最大で0.4°C生じることになったが、許容差の範囲であり、大きな影響は生じていない。

III. 絶対温度

1954年、水の三重点、つまり水の3つの相である気体(蒸気)と液体と固体(氷)とが平衡状態にある点が、273.16K(0.01°C)であるということが国際的に合意された。三重点は氷点よりも正確に測定することができるので、絶対的温度の定点としてよりすぐれている。

ケルビン卿が考案した絶対温度は、ケルビン温度あるいは熱力学温度ともいうように、熱力学の法則から理論的にもとめられたものである。単位としてはK(ケルビン)をもちい、水の三重点を273.16Kと定義する。絶対零度(0K)はセルシウス度で-273.15°Cに相当し、エントロピーが0の世界である。水の状態変化を基本としたセルシウス度とちがい、絶対温度は特定の物質に依存しない物理量で、科学のあらゆる分野で広くつかわれている。絶対温度Tとセルシウス度tとの関係は、次のようにあらわされる。

T(K) = t(°C) + 273.15

IV. 温度の影響

温度は、生物が生きていくうえでの重要な環境要素(環境条件)である。鳥類や哺乳類などの恒温動物は、ある温度範囲で体温をほぼ一定にたもって生きていくことができる。これに対して両生類や爬虫類などの変温動物などは、外界の温度変化をうけやすい(体温)。水生生物などでは工場などの温排水で周辺の生態系がかわってしまい、重大な影響をうけることがある(水汚染)。

物質は温度環境によって性質がかわる。たとえば低温下では固体はもろくなり、こわれやすいし、液体は固化したり、粘性がましたりして流動しにくくなる。絶対零度に近い温度では、物質は電気抵抗がゼロになる超伝導のようなおどろくべき性質をしめす(低温学)。高温下では固体は液化または気化したり、化合物の構造がこわれたりする。

大気の温度を気温といい、地球上の気温は大部分の地域が-20°C~+25°Cの間にある(対流圏)。高度が高くなるほど気温は低下するが、およそ12km付近でしばらく一定になる。それより上では高度があがるにつれ気温は高くなり、高度50kmあたりで最高になる(成層圏)。さらに、50~80Kmあたりで気温はさがり、90kmあたりでは-80°Cとなる。それ以上の高度になるとふたたび高くなる。高度300kmくらいで気温はおよそ1200°Cになる(熱圏)。