アインシュタイン,A.
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アインシュタイン,A.
IV. 一般相対性理論

アインシュタインは1908年に特許局をやめるが、その前年の07年、特殊相対性理論をあらゆる座標系に拡張し、一般化する仕事に着手した。特殊相対性理論でいう慣性系は、すべての座標系の中では特殊な系にあたるため、すべての座標系をひとしくあつかえる理論を展開しようとつとめたのである。彼は等価原理を明確にし、重力場は慣性系の加速度にひとしいという仮説をたてた。一般相対性理論は約10年をかけて15年に完成、16年に発表された。この理論により、それまで重力によって説明されてきた質量をもつ物体の相互作用が、四次元時空の幾何学上で物体のあたえる作用として説明されるようになったのである。つまり、重力は質量をもった物体により周辺に生みだされる空間のひずみによって生じる物理的効果と表現される。

一般相対性理論にもとづいて、彼は以前は説明できなかった水星の近日点(近日点と遠日点)移動を説明し、太陽のような巨大な質量の天体の近くを通過する光は、その重力の影響でまがることを予言した。1919年のロンドン王立協会による日食を利用した観測は新聞や雑誌の話題となり、この現象が確認されてアインシュタインの名声は世界じゅうにひろがった。しかし、アインシュタインはその名声におごることなく、逆に名声がひきおこす騒動によって仕事が中断されることをきらったという。その後の生涯、アインシュタインは理論をさらに一般化することに可能なかぎりの時間をかけた。彼が最後にめざしたものは、統一場理論である。これは完成にはいたらなかったが、相互作用の本質にある時空の幾何学を修正しようという考えから、重力、電磁気力、弱い相互作用、強い相互作用という物理学の基礎となっている4つの力を統一して理解しようとする壮大な試みだった。

1915~30年の間に物理学の主流は、量子論という物質の新しい基本概念を発展させる方向にあった。この理論は不確定性原理と同様に、測定における精度が限定されるが、アインシュタインがはやくから主張していた波動と粒子の二重性(光は波と粒子の両方の性質をしめす)という特徴をもふくんでいた。くわえて、この理論はそれまで考えられてきたきびしい因果律の考え方についても、根本的に見直さなければならない内容をふくんでいた。しかし、アインシュタインは量子論のもつ確率論的な考え方をうけいれようとはせず、生涯これらの発展に対して批判的だった。アインシュタインは、こういった。「神は世界をつかってサイコロ遊びをしない」。そしてまた、科学的真理は人間性とは独立した本当の真理と考えるべきで「わたしはこれがただしいと証明することはできないが、これはわたしの宗教である」ともいっている。