ヘリウム
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ヘリウム
II. 性質

ヘリウムは単原子の気体で、1個の原子がそのまま分子となっている。ほかの希ガスと同様に、ヘリウムは化学的に不活性である。ヘリウム原子では電子軌道が電子で完全にみたされているため、ほかの元素との反応はおこりにくい。ただし、ごくまれに、ひじょうに不安定な化合物を形成することがある。これまでにネオンなどの希ガスや、水素と結合したヘリウム化合物の分子が発見され、そのほかの化合物が存在する可能性もみとめられている。

ヘリウムは宇宙では水素についで豊富に存在する元素であり、宇宙発生の最初の段階では大量のヘリウムが生じ、そこから各種の元素が生成したと考えられている。太陽系では太陽の大気にかなりの量がふくまれる。そのほか木星や土星などの大型惑星では、水素とともに大気の主成分を構成する。ごくまれに発見されるヘリウム化合物の存在は、宇宙の誕生や進化を解明する宇宙論にとって重要である。→宇宙の「宇宙の進化」

ヘリウムの融点は絶対零度(-273.16°C)に近く、すべての気体の中でもっとも液化が困難である。1908年、オランダの物理学者カメルリン・オンネスが、はじめてヘリウムの液化(凝縮)に成功した。液体ヘリウムは極低温の研究実験にかかせない冷却剤となる。液体ヘリウムを急激に気化すれば、蒸発によって熱をうばうので、常圧でもほぼ絶対零度に近い超低温がえられる。

液体ヘリウムは絶対零度0K(ケルビン:絶対温度)付近で、超流動性とよばれる特異な現象をしめす。液体ヘリウムは2.17K(-270.98°C)以上では通常の液体(ヘリウムI)だが、それ以下に冷却されると超流動性ヘリウム(ヘリウムII)となる。超流動性ヘリウムは粘性がゼロの液体で、通常の液体ではとおれない微小なひびや小孔も、たやすく通過する。また容器の壁面をはいあがり、外に流出していく。この超流動性は量子論の助けがあって、はじめて説明できる現象である。

アメリカやカナダ産の天然ガスには平均0.4%のヘリウムがふくまれ、ヘリウムの工業的な供給源として利用される。少量のヘリウムの移送はボンベでおこなわれるが、大量のヘリウムでは輸送費を軽減するために、断熱容器に封入した液体ヘリウムとして輸送される。