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| II. | 歴史 |
政治的目的の達成のために敵対者を抹殺しようという行為は、洋の東西を問わず古くからあった。ただ一般には、正規の戦争において敵をたおし、それによって誕生した英雄を賛美はしても、個人的暗殺は戦士の道徳にてらしていかがわしいものとみなされていた。しかし、皇帝の圧政をたおそうとした19世紀末ロシアのテロリストや、伊藤博文を暗殺して日本の朝鮮統治に抗議した安重根のように、のちに民衆の英雄となった者もいる。
歴史をさかのぼってみると、テロリズムの行使者は、ほとんどの場合個人であり、そうした個人的テロリズムは今日でもいたるところでみられる。ところが近代にいたって、個人的テロリズムだけではなく、組織された集団的テロリズムがあらわれてきた。18世紀末のフランス革命におけるジャコバン派の独裁は、そうした集団的テロリズムの最初の事例であり、彼らによって革命の敵対者は組織的にギロチンにおくられたのである。さらに20世紀になると、集団的ないし組織されたテロリズムは、しばしば国家機関を利用した大規模なものとなった。その典型は、ドイツのナチズムとロシアのスターリン体制である。
テロリズムはまた、革命的か反革命的かという政治的イデオロギーによって、左翼テロリズムと右翼テロリズムに分類されてきた。ロシア革命以来、前者は赤色テロ、後者は白色テロとよばれてきた。しかし社会主義体制の崩壊以来、こうした伝統的なイデオロギー的分類はあてはまらなくなった。