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| IV. | ハッブルの法則 |
銀河のスペクトルの研究をしていたアメリカの天文学者ベスト・スライファーは、アンドロメダ銀河のような近くにある数個の銀河をのぞけば、銀河のスペクトル線がより波長の長いほう(赤いほう)にずれていることに(→ 赤方偏移)、1912年に気づいていた。ドップラー効果によって生じる波長のずれは、銀河がわたしたちの銀河系から秒速数百キロメートルの速さで遠ざかっていることをしめしていた。
1929年、ハッブルは、さまざまな銀河までの距離と、スライファーが測定した同じ銀河の赤方偏移とを比較し、遠い銀河ほど遠ざかる速度が大きいことを発見した。これは、赤方偏移の法則またはハッブルの法則とよばれ、銀河の後退速度はその距離に比例する、というものである。銀河の距離に対する後退速度の割合をハッブル定数といい、現在、1メガパーセク(=100万パーセク)当たり秒速50~100kmと推定されている。
どの方向の銀河も銀河系から遠ざかっているようにみえるので、銀河系が宇宙の中心であるように思えるかもしれない。しかし、そうではない。等間隔に点をつけた風船を考えてみよう。風船がふくらむにつれて、それぞれの点上にいる観測者には、すべての点が自分から遠ざかっていくようにみえる。これはすべての銀河が銀河系から遠ざかっていくようにみえるのと同じである。このたとえはまた、ハッブルの法則のわかりやすい説明でもある。宇宙は風船のように膨張しているのである。