元素
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元素
I. プロローグ

物質を構成する基本的な成分のこと。万物の根源的原理は何かということは古代から重要問題で、古代ギリシャのアリストテレスやエンペドクレスといった哲学者たちは、自然が土(地)・水・火・空気(風)といった4つの要素から構成されると考え、その基本要素を万物の根源(アルケー、arkhē)すなわち元素とよんだ。中国の陰陽五行説でも似たような考え方をしていて、万物を構成する要素を、木・火・土・金・水の5つの元素であると考えていた。中世ヨーロッパの錬金術師たちは基本的にはこの4元素説を信じ、そのもとで金属を変換させようとこころみたのである。→化学の「ギリシャの自然哲学」

17世紀のイギリスの化学者ロバート・ボイルは、実験によって錬金術の考え方を批判し、通常の化学的手段ではそれ以上小さな物に分割できない究極の物が元素であると定義した。この定義は長い間、化学の常識とされてきた。しかし1940年代後半、原子核が核分裂することが実験によって明らかになり、多くの同位元素(同位体)が知られ、その合成や変換もできるようになった。ボイル以来の元素の定義はくつがえされ、中世の錬金術師たちの夢は原子核の変換という形で実現したのである。