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I. プロローグ

カイコ(蚕)のまゆ(繭)からとった天然繊維。うつくしい光沢と肌ざわりから、繊維の女王といわれる。

一つのまゆから1200m以上の糸がとれ、10本ほどをたばねたものが生糸である。生糸はタンパク質の一種であるフィブロインと、それをおおうセリシン(膠質:こうしつ)からできている。熱水やアルカリ液をつかって生糸からセリシンをとりのぞけば、軽くてしなやかで、光沢にとむ絹に精練される。

クワを餌(えさ)に飼育されるカイコからとれる絹糸以外にも、ヤママユガ、サクサン、エリサンといったカイコと近縁のガのまゆからも多くの「野蚕糸(やさんし)」が、生産されている。たとえば、柞蚕糸(さくさんし)はナラなどの葉を餌とするサクサンからとられる。また玉糸とよばれるものは、2匹のカイコが共同してつくる玉まゆからとれる。シャンタンなど表面に変化のある絹織物は、玉糸を素材としている。