ハリケーン
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ハリケーン
III. 大気の渦巻き

ハリケーンは対流圏の全層におよぶ大気の渦巻きである。上空からみると、北半球では時計と反対向きに回転し、南半球では時計と同じ向きに回転する。

発達するにつれて中心部の気圧が低くなり、渦の周りをめぐる風は強くなる。渦がある程度発達すると、中心部には背が高い雲のない直径20kmほどの部分ができ、その周りを高さが16kmにもなる背の高い積乱雲が円形にとりかこむので、上からみると中心部は雲の穴のようにみえる。そこを「目」という。目の内部は風も比較的穏やかである。また、目の周りをとりかこむ雲を「壁の雲」という。その内側は巨大な積乱雲が密集して、その内部で解放される水蒸気の潜熱(→熱の「潜熱」)がハリケーンの原動力になっている。

その潜熱が雲の中の空気を加熱して風速10m/sをこえるはげしい上昇気流を発生させると、ハリケーンの中心付近の広範囲に海上から水蒸気をふくんだ空気があつまる。この空気にコリオリの力が作用して、渦巻きが発生するのである。つまり、渦巻きの回転方向は地球の自転できめられているのである。風速は目の内側で最大になり、それより外側では、中心からはなれるほど弱くなる。暴風圏の範囲は中心から300km程度である。最大風速の強さによってハリケーンは分類されるが、もっとも強いものは最大風速70m/sにも達する。

ハリケーンは発生すると、放物線に似た経路をたどって中緯度にむかう。北半球で発生したハリケーンは、低緯度にある間は北西の方向にすすむが、途中で進路を北東にかえることが多い。方向をかえる地点を転向点という。低緯度の海上にいる間は時速30km程度の速度ですすむが、転向後は時速80km程度まで加速する。